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帰納型の「情報の流れ分析法」と演繹型の「ワークデザイン法」:現場改善を定量化する分析手法とは(21)(4/4 ページ)

工場の現場改善を定量化する科学的アプローチを可能にする手法を学習する本連載。これまで2回にわたって紹介してきた事務的業務の分析手法のシリーズの最終回として、今回は「情報の流れ分析法」について説明する。また、帰納型分析法の「情報の流れ分析法」に対して、演繹型分析法となる「ワークデザイン法」も取り上げる。

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6.2 ワークデザイン法の本質

 ナドラー博士のワークデザイン法は、前述の通り仕事やシステムを根本から設計し直すための方法論です。目的を定義して理想的なシステムを先に描き、次に現実へ落とし込むという、課題解決型のシステム設計手法です。従来の「現状分析→改善」を主軸とするIE(Industrial Engineering)の帰納的(分析的)アプローチではなく、目的を起点とする演繹的(創造的)アプローチを採る点が最大の特徴です。

6.3 ワークデザイン法の特徴

 ワークデザイン法は、本来のあるべき姿を創造することに重点を置くため、ブレークスルー思考となり、強力なシステム構築が可能となります。特徴として、以下に列挙した項目の思想を核にしています。これは、帰納的アプローチとは対照的で、演繹的アプローチとして位置付けられます。

  1. 目的の定義付け
    「何のために」を徹底的に掘り下げるため、必要なシステムも根本から変わり、本来の達成したい目的を徹底的に問い直す
  2. 理想から逆算して、現実的なシステムへ収束させて設計する
    現状の制約を全て考慮せず、制約を全廃して理想状態を先に描くため、既存の枠組みを超えた革新的な案が出やすく理想システムを構築する
  3. 部分最適ではなく、全体最適を追求する
    創造的発想を重視し、全体の構造を再設計することで全体最適を求めるため、問題の連鎖を断ち切ることができる

6.4 理想のシステムとは

 ナドラー博士は、現状から考え始めると発想が制約されると考え、まず理想像を描くことを重視しました。理想システムの要件として、「必要な機能を完全に果たす」「コストや資源を最小限にする」「将来の変化にも対応できる」の3点が理想像として挙げられます。

6.5 ワークデザイン法が効果的な事象

 ワークデザイン法は、以下のような「現状の延長では限界がある」場面で特に威力を発揮します。

  • 業務プロセスを抜本的に見直し再構築(BPR:Business Process Re-engineering)
  • 新規事業や新サービスの設計
  • 組織構造の再構築
  • 現状の踏襲を避けた、業務システムの刷新

◇     ◇     ◇     ◇

 情報の流れ分析を進める前に、「情報の可視化」は業務の効率化や改善活動を進める上で、全ての土台となる重要な考え方です。ただデータを集めてきれいに並べるだけでは意味がありません。業務改善として成功させるには「何のために可視化するのか目的を明確にする」「見て終わらせず、異常発見の際の行動ルールを決めておく」「現場の負担にならないよう、自動でデータが集まる仕組みを作る」の3点が重要であり成功の鍵でもあります。

 また、ワークデザイン法は、演繹的アプローチに特徴があり、目的とする機能を展開し、理想システムを描き、そして理想システムに合うように現状を変えていくことを目指します。ナドラー博士は、ワークデザインの考え方をさらに発展させ、その後「ブレークスルー思考(Break Through Thinking)」という名称に改編し、その普及活動に努力しました。

 ワークデザイン法が特定範囲におけるクローズした問題解決を指向していたのに対して、ブレークスルー思考は人間などを含めたオープンなシステムの問題解決を行うツールです。ワークデザイン法では、問題解決を考える前に、問題を解決する目的を考えます。この視点は、ブレークスルー思考においても継承され、基本的な枠組みとなっていますが、ブレークスルー思考は、人間の目的行動に着目したアプローチを用いており、設定された原則に従って、問題解決を探るという手法といわれています。(連載完)

筆者紹介

MIC綜合事務所 所長
福田 祐二(ふくた ゆうじ)

日立製作所にて、高効率生産ラインの構築やJIT生産システム構築、新製品立ち上げに従事。退職後、MIC綜合事務所を設立。部品加工、装置組み立て、金属材料メーカーなどの経営管理、生産革新、人材育成、JIT生産システムなどのコンサルティング、管理者研修講師、技術者研修講師などで活躍中。日本生産管理学会員。


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