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企業の経営効率を高める「業務分析」と「職務分析法」「生活分析法」現場改善を定量化する分析手法とは(19)(1/3 ページ)

工場の現場改善を定量化する科学的アプローチを可能にする手法を学習する本連載。今回の第19回から事務的業務の分析手法に着目。まずは、基礎となる「業務分析」の概要に加え、「職務分析法」と「生活分析法」という2つの分析手法について説明する。

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 本連載「現場改善を定量化する分析手法とは」では、主として現場作業における分析手法を説明してきました。今回からは事務的業務の分析手法について着目したいと思います。

 事務的業務で頻繁に活用される分析手法としては「職務分析法」「生活分析法」「自己申告法」「情報の流れ分析法」「帳票分析法」などがあります。今回は、基礎となる「業務分析」の概要に加え、職務分析法と生活分析法という2つの分析手法について説明します。その他の分析手法は次回に取り上げます。

⇒連載「現場改善を定量化する分析手法とは」バックナンバー

1.業務分析とは

 業務分析(Business Analysis)は、組織の現状を把握することで、課題とその真因を明確にし、解決策を導き出すプロセスをいいます。主として間接業務の現状を「見える化」し、業務のムダや業務の流れ、連携を阻害しているボトルネックを改善するための基盤となる分析法です。特に生産性向上、属人化の解消などに欠かせないプロセスです。

 業務分析は、業務フロー、作業時間、役割分担、情報の流れなどを可視化し、体系的に把握することで、以下に挙げられるようなメリットが得られます。仕事の流れを記述していくだけではなく、経営目標と実態に矛盾がないように調整し、一貫性を持たせることが重要です。

  • (1)業務の可視化により、業務内容を客観的に把握できるため、無駄な業務や手戻り、重複業務、待ち時間、属人化などを明確にすることで課題を発見できる
  • (2)As-Is(現状の姿)とTo-Be(将来あるべき姿)のギャップが明確になり、効果的な改善策を立案できる
  • (3)無駄な業務の削減、作業時間の短縮、人件費の最適化などにより、生産性の向上やコストの削減が可能となり、経営効率が向上する
  • (4)業務手順を標準化することで、属人化している業務が解消され、誰でも同じ品質で業務の遂行ができると同時に、業務の引き継ぎや教育が容易となることで強い組織づくりが可能となる
  • (5)無駄な業務が削減されることで、よりクリエイティブ(Creative:創造的、独創的)で付加価値の高い業務に集中できるようになり、従業員のエンゲージメント(Engagement:愛着心、貢献意欲)も高められる

2.職務分析法とは

 職務分析法(Job Analysis Method)では、主として定型業務の職務内容および職務の発生頻度とそのタイミング、職務の遂行時間などの分析を行います。分析結果の効果的な用途としては、業務効率の向上、重複業務の排除、間欠的に発生する断続業務の改善などが挙げられます。

 企業活動における職務内容を挙げてみると、例えば、資金調達、資材購入、機械設備/装置の稼働計画、労働力の確保、労働力/機械設備の作業工程への配置、生産活動、製品の販売、販売代金の回収、銀行への預金などがあり、これら一連の業務は分業化されています。そして、個々の業務は部分的労働となり、これに権限や責任が付与されて職務となります。

 権限と責任は、経営者層、中間管理職層、管理監督者層、一般職層というように階層別に分化されます。それぞれの職務は、使用する機械設備や原材料、職務遂行の順序、権限と責任、職務担当者の責任と義務、職場環境などが明確化されます。このような職務の明確化を「職務分析」といいます。また、職務分析は労務管理の出発点ともなります。これらの内容は「職務記述書(Job Description)」や「職務明細書(Job Specification)」に記述します。職務明細書は、職務担当者に必要な資格要件について記述したものです。

2.1 職務の定義

 職務分析(Job Analysis)の内容を説明する前に、職務の定義を明らかにしておく必要があります。「職務(Job)」に関連する言葉として、「仕事(Task)」「職位(Position)」があります。この相違点を明らかにすることが、職務の定義につながります。

 まず、仕事は、管理者の計画的業務から現場作業者の直接業務に至る職場活動において、その責任を果たすための努力のことをいいます。つまり、仕事は特定の目的を果たすための人的努力を指します。

 次に、職位についてです。職位は、組織における仕事上の地位や担当業務の種類を指す言葉です。具体的には、組織内での権限や責任、業務の範囲を示し、権限の大きさや責任の範囲を表しています。つまり、企業に所属する人たちは、組織活動の一部を割り当てられ、それを遂行するという義務があります。この一人一人に割り当てられた仕事を職位といいます。従って、組織活動が行われているところでは、そこに所属している人数の数だけ職位の数があるということになります。

 最後に職務の定義です。簡単に言えば「各人の担当する仕事の性質と種類が全く同一で、求められる要件も全く差のないとき、この一群の職位を一括して職務といいます。例えば、ある管理者に部下が5人いたとします。これらの人たちが全く同じ作業をしているとすると、管理者は別として部下は彼らの職位に割り当てられた仕事の種類、性質と責任の種類などから考えて同一の職務を担当していることになります。すなわち、この職場の部下について考えれば、職位の数は5つですが、職務の数は1つであるといえます。

2.2 職務分析の目的

 厚生労働省編さんの「職務分析マニュアル」には、職務分析の基本原則として以下の3つの項目が掲げられています。これらは、従業員の担当している個々の職務の内容を分析して、その職務が本来もっている性格や、組織内の職務間の相互の関連などを明確にし、担当作業者が職務遂行上必要とする諸条件を決めることであるといえます。

  • (1)職務の実体を正確に、かつ完全に確認する
  • (2)(1)により確認された職務の仕事全体を正確に記述する
  • (3)作業者に要求される職務遂行の要件を明確に指摘する

 このようにして職務の特性を明確にできれば、職務分析の人事管理上の用途は幅広くなり、これらの管理情報は重要な役割を担うこととなります。以上を踏まえて職務分析の目的を分類すると次の通りとなります。職務分析は、労務管理に欠かせない職務を実行する側に対しての基礎的情報を提供する分析手法であるといっても過言ではありません。

  • (1)職務内容の明示は、採用管理、労働配置などの際に役立つ
  • (2)職務評価、作業環境評価などの評価過程に役立てられる
  • (3)職場における要員配置の際に、必要な要員数の算定に役立つ
  • (4)職務の必要条件が明確になり、担当作業者の教育訓練における問題点などの発見に役立つ
  • (5)人事考課は職務に対する人の位置付けであり、この点から職務内容の人に対する必要条件の明確化が欠かせない情報となる
  • (6)職務に就くことを希望する人たちの最適配置の一助となる

2.3 職務分析法の主な方法

 職務分析を行う際には、業務の特性に合わせて関係する情報を集めるために、通常は以下の方法を使い分けます。

  • (1)記録法(Record-Keeping Method)
    分析対象と職務に関する諸事項と、伴う作業や動作の内容を記録し、必要に応じて統計的に整理する
  • (2)質問紙法(Questionnaire Method)
    職務条件や勘所などを職務担当者または管理監督者に、口頭または質問表に書いてもらい記録する。アンケート形式で一斉に調査するので、短期間で多人数からデータを収集することができる。この手法は、質問用紙の設計が難しく、回答の精度にバラツキが出る場合もある
  • (3)面接法(Interview Method)
    職務担当者と直接に面接して情報を得る方法である。(4)の観察法と併用することによって、より詳細の情報が集められ効果的である。多くの場合、職務担当者や上司にヒアリングを行う。業務の背景や判断基準、悩みなどを聞き出せるメリットもあるが、回答者の主観が入りやすく、比較的多くの時間を費やす
  • (4)観察法(Observation Method)
    分析者が該当する職務担当者のそばに立ち、その人の行動を一定の方法に従って観察して記録していく方法。分析者が実際の作業現場を直接見て記録していくので、客観的な事実を確認できるメリットがある。一方、被観測者に心理的プレッシャーを多少なり与える
  • (5)作業日誌法(Daily Work Record Method)
    職務担当者が毎日の作業内容と時間を記録する方法で、発生頻度が低い業務や時間の使い方が明確になる。この方法は、担当者の記入負担が大きく、記述が曖昧になりがちである
  • (6)作業体験(作業参加)法(Work Participation / Work-Sample Method)
    分析者自らがその業務を体験する方法で、疲労度や心理的負担、細かなコツを深く理解できる。ただし、高度なスキルが必要な業務には適用しにくい

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