ギークプラスが双腕3本指ヒューマノイドを国内初公開、2027年度にテスト導入へ:国際物流総合展2026
ギークプラスは「国際物流総合展2026」において、自社のピッキングシステムと連携して次世代の完全自動化ソリューションを実現する汎用型ヒューマノイドロボット「Gino(ジーノ)」を国内初公開した。双腕に3本指ハンドを備え、最大20kgのコンテナ搬送にも対応する。
ギークプラスは、「国際物流総合展2026」(2026年9月8〜11日、東京ビッグサイト)において、日本国内初公開となる汎用型ヒューマノイド「Gino(ジーノ)」を、同社の搬送ロボットや自動倉庫システムと連携させ、次世代の完全自動化ソリューションとして披露した。
3本指ハンド、1時間当たり最大300ピース処理に対応
Ginoは、2026年8月に同社が発表したヒューマノイドロボットだ。本体の外形寸法は幅655×奥行き600×高さ1820mmで、重量は150kg。アームには14自由度設計で全関節力制御に対応する双腕を備え、先端には触覚センサーを備えた3本指ハンドを採用した。片腕の可搬重量は2kg未満だ。
足回りには360度自在に移動できる全方向移動ベースを取り入れ、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)ナビゲーションに対応する。走行速度は無負荷時で秒速2m、荷物を運ぶなど負荷がかかる場合に秒速1.5mとなる。
AI(人工知能)処理を担う頭脳には、エッジAIコンピュータ「NVIDIA Jetson Thor (Blackwell)」を搭載した。その上で稼働する知能基盤として、独自の統合AIフレームワーク「Gravity」を採用している。これにより、複雑な作業を具体的な手順に分解する機能と、物理的な影響を事前にシミュレーションする機能を組み合わせて動作を生成する。
環境認識には、頭部のメインカメラ3基と前後魚眼カメラからなるビジョンヘッドにより、360度の周辺認識を行う。走行時は前後の3D LiDARを活用して3Dシーンの再構成と動的経路計画を実施する。なお、ハードウェアの製造/開発は中国拠点が担い、それを輸入する形で提供している。
同社のブースでは、これまで作業員が行っていたGTP(Goods-to-Person)の仕組みをヒューマノイドに置き換えた、「Goods-to-Robot」の連携プロセスが実演された。
まず、搬送型AMR(自律移動ロボット)がコンテナを収納した棚を持ち上げ、ピッキングステーション「PopPick Lite」へ搬送する。次に、PopPick Liteが対象のコンテナを自動で引き出し、待機しているGinoの手元へ移動させる。Ginoは前述した環境認識とAI処理により箱の中に入ったタオルを認識し、ハンドでつかみ出し、別のコンテナへと移し替える一連の作業を披露した。
Ginoのピーク時の処理能力は1時間当たり240〜300ピース程度だという。最大20kgまでのコンテナ搬送にも対応しており、GTPでの受け渡しや庫内補充、ピッキングステーション間の搬送といった業務を想定している。
今回の実機展示を実現させた背景について、ギークプラスの説明員は既存システムとの統合性の高さを挙げた。
「Ginoは当社が提供するAGVなどと同じ制御システムに統合されている。そのためすでに当社製品を導入している現場であれば、制御用のシステムを新たに追加することなく容易に導入でき、システム構築にかかる初期費用を抑えることが可能だ」(同説明員)
Ginoはシステム上はすでに販売可能な状態にあり、中国ではすでに一部の現場で実稼働が始まっているという。日本国内においては、関心を示す企業へのテスト導入を順次進めていく方針だ。「まずは2027年度をめどに実際の現場に1台導入して動作や精度を検証し、フィードバックをもとに改善や調整を重ねていくことを想定している」(同説明員)。
ギークプラスは、株主である北京ギークプラステクノロジーカンパニーリミテッドと、日本資本とのジョイントベンチャーだ。国内でのロボット販売実績は4000台に上る。同社のブースではこの他、次世代高密度保管ソリューション「SkyCube」や、高層ラックのスペースを活用する「RoboShuttle Air」の実機も併せて展示された。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
作業負担の軽減や生産性向上に向け、アスクルが物流センターにロボットを導入
アスクルは同社の物流センターに、Mujinのデパレタイズロボット「MujinRobot」とギークプラスの自動棚搬送ロボット「Geek+ EVE P800R」を導入した。導入により、従業員の身体的負担を大幅に軽減し、庫内作業の生産性を向上する。
設置床面積50%削減 ギークプラスが新型ピッキングステーションを国内初公開
ギークプラスは「国際物流総合展2025」において、従来モデル比で設置床面積を50%削減した新型ピッキングステーション「PopPick Lite Station」を国内初公開した。
“中国ヒューマノイド革命”はなぜ起きた、異業種や大手テックが動かす市場の今
中国のヒューマノイドロボット市場は、劇的なパラダイムシフトの渦中にある。出荷台数は前年比約7倍、世界シェアは8割に達し、異業種企業の参入で本体企業数は倍増した。野村総合研究所の李智慧氏による、量産化フェーズへ突入した中国市場の急成長を支えるマクロ動向の解説を紹介する。
複数メーカーの6種マテハン連携、「倉庫自動化はサプライウェブ時代へ」
ラピュタロボティクスは、物流倉庫の業務フロー全体を最適化する「End-to-endソリューション」を発表した。自社製品と他社製設備を柔軟に組み合わせ、AIによる統合制御で複雑化する現場の課題解決を図る。
猛追する中国勢、2026年の淘汰――自動化ベンダーの「生存戦略」を問う
物流自動化が「生存戦略」となる中、安価な中国勢の台頭で市場は激変している。自動化投資を無駄にせず、成功する秘訣には何があるのだろうか。前編では、ラピュタロボティクスが見据える2026年のベンダー淘汰に向けた生き残り戦略と、自動化設備導入トレンドの最前線に迫る。
日本の「完璧主義」から脱却し中国ヒューマノイドにどう立ち向かうか
ハードウェアと市場が先行して急拡大する一方で、自律制御を担う基盤モデルの領域にはいまだ乗り越えるべき壁が多い。後編となる本稿では、オープンソース化で社会実装を急ぐ中国プレイヤーの動向を解説。圧倒的なスピードで独走する中国に対し、日本が目指すべき生存戦略を提示する。





