猛追する中国勢、2026年の淘汰――自動化ベンダーの「生存戦略」を問う:物流オートメーションの今(前編)(1/2 ページ)
物流自動化が「生存戦略」となる中、安価な中国勢の台頭で市場は激変している。自動化投資を無駄にせず、成功する秘訣には何があるのだろうか。前編では、ラピュタロボティクスが見据える2026年のベンダー淘汰に向けた生き残り戦略と、自動化設備導入トレンドの最前線に迫る。
倉庫など物流自動化設備の導入は、単なるコスト削減や効率化の手段ではなく、事業を継続するための「生存戦略」へと変わりつつある。価値が高まり投資が増える中で、欧州のAutoStoreやSkypod、さらには勢いのある中国メーカーが相次いで市場参入している。選択肢が広がる一方、現場に定着せず投資が無駄になるリスクも顕在化している。
激化するグローバル競争の中で、ベンダーが果たすべき真の役割とはどこにあるのか。また、自動化を成功させる企業にはどのような特徴があるのか。前編では、最新の自動化設備導入トレンドや、2026年に訪れるとされる市場の淘汰予測を中心に、自在型自動倉庫などを展開する、ラピュタロボティクス VP of Business ASRS営業部長の鈴木匡嘉氏と、同AMR事業部営業部長の尾形達也氏に、物流自動化の未来について聞いた。
「やらない理由探し」のフェーズは終了、事業継続のための投資へ
MONOist 倉庫内や工場内の自動化が叫ばれて久しいですが、昨今の顧客の投資意欲や業界全体の動向をどう分析されていますか。
尾形達也氏(以下、尾形氏) 自動化設備の導入トレンドは、時間外労働時間の上限規制が始まった「2024年問題」などが引き金となった面もあるが、実は、顧客側の物流投資に対する姿勢の変化が大きい。かつては「自動化をやらない理由」を模索する企業も多かったが、現在は「どうやって事業停止を回避するか」という観点で検討する企業が多くなった印象だ。国による適切な指導や法改正が後押しした結果だろう。
鈴木匡嘉氏(以下、鈴木氏) 5〜6年前は「もうすぐ最低賃金上がる」「そのうち人が足りなくなりそうだ」という、あくまで将来の懸念事項だったのが、現在はそれがリアルな脅威となっている。「数カ月後には何人不足してしまう」といった具体的な数値に基づいた切迫感が、現場レベルで非常に高まっている。
それもあって、大手の3PL(サードパーティーロジスティクス、物流アウトソーシングサービス)やEC事業者などの自動化は、2年ほど前に一通り完了したと見ている。現在は、自動化の必要性を感じつつもノウハウを持たないTier 2、Tier 3層の企業からの相談が急増している状況だ。自動化機器業界全体としては、中小企業向け投資補助金など補助制度の拡充もあり、2024年度以上に勢いが加速していると感じている。
低価格の中国メーカーにどう勝負を仕掛けるのか
MONOist 現在、自動倉庫市場では、欧州のAutoStoreやSkypod、さらには勢いのある中国メーカーなど、世界中のプレイヤーが日本市場へ攻め込んでいます。こうした競合との戦い方をどのようにお考えですか。
鈴木氏 自動倉庫の競合は非常に多くなってきている。2023年に当社が自在型自動倉庫の「ラピュタASRS」を投入した際は、モジュール型による拡張性や設置の柔軟性で一気に優位に立った。しかし、現在は欧州勢や中国勢も高い技術力で追随している。特に中国メーカーは、価格と機能のバランスが極めて強力だ。安価でアジャイルな開発を重ねる中国勢は、ハードウェアのスペックだけで見れば相当なレベルに達している。
しかし、当社は価格競争に巻き込まれるつもりはない。「安かったから」と導入しても、日本の現場特有の細かな運用変更に対応できず、結局は稼働が止まってしまうケースも聞く。そうなれば、顧客にとっては数億円の投資が無駄になる。だから当社は、ハードウェアを売って終わりにするのではなく、ソフトウェアの質とサポート体制で勝負していく。
尾形氏 現在はまだ、自動化そのものが目新しいものであったり、補助金の活用といった理由で導入されたりする側面もある。しかし、2026年が終わる頃には、導入されたロボットたちが「本当に現場の生産性を上げているのか」という結果がシビアに突きつけられる時期に入るだろう。その際、ハードウェアを売るだけでサポート体制が整っていないベンダーは、顧客からの信頼を失い、淘汰されていくのではないか。当社が伴走型パートナーにこだわるのは、顧客の投資を失敗させないためという思いがある。
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