猛追する中国勢、2026年の淘汰――自動化ベンダーの「生存戦略」を問う:物流オートメーションの今(前編)(2/2 ページ)
物流自動化が「生存戦略」となる中、安価な中国勢の台頭で市場は激変している。自動化投資を無駄にせず、成功する秘訣には何があるのだろうか。前編では、ラピュタロボティクスが見据える2026年のベンダー淘汰に向けた生き残り戦略と、自動化設備導入トレンドの最前線に迫る。
導入して終わりではない、伴走型パートナーとして
MONOist 顧客の投資を失敗させないとは、具体的にどういうことでしょうか。あらためて製品の特徴や強みを伺えますか。
鈴木氏 自動倉庫のラピュタASRSは、導入後の拡張性や柔軟性に重きを置いた、柔軟さを最大の特徴としている。従来の自動倉庫は、設計上の制約などにより、きれいな直方体のスペースでなければ設置できないケースが多い。対して当社製品はモジュール型を採用しており、形状の自在性が極めて高いのが強みだ。
例えば、隣接する部屋を扉越しに連結して構築するといった柔軟な対応も可能である。新築建屋でなくとも現場の形状にフィットし、多様な運用に追従しながら高い生産性を維持できる。この「形状の自在性」こそが、他社にはない当社の自動倉庫のアイデンティティーとなっている。
尾形氏 ピッキングアシストロボット「ラピュタPA-AMR」は、2025年1月に追加した重量検品機能など、物流現場ならではのニーズを反映した機能を実装しているのが特徴だ。さらに最大の強みは導入実績数にある。ラピュタPA-AMRは2025年末時点で、70拠点以上に累計約800台を導入しており、業界でもトップクラスのシェアを持っている。これら導入現場から寄せられるフィードバックが製品開発の原動力になっている。
当社にはエンジニアや営業のほかに、導入後の生産性向上のみを追求する専門部隊であるカスタマーサクセス部門を持つ。カスタマーサクセスは、単にロボットを稼働させて終わりではなく、取得した稼働データを精緻に分析し「今の配置ではここで渋滞が起きている」「このピッキング順序なら10秒短縮できる」といった改善提案を恒常的に行う専門チームだ。こうした厚い導入支援により、同一企業内での横展開など実績数の伸長につながっている。
鈴木氏 当社の差別化の鍵は、AMR(自律走行搬送ロボット )や自動倉庫、自動フォークリフトなどを組み合わせた「総合ソリューション」にあると考えている。単に大量の荷物を保管するだけで出荷頻度が低いような現場であれば、他社製品の方が適している場合もある。しかし、単品のプロダクト販売から、現場全体の課題を解決するソリューション提供へと移行することで、独自の立ち位置を確立していく。
まずは国内市場拡大、製造業市場の一気獲得を狙う
MONOist 今後の定量的な目標と、市場における中長期的なビジョンについてお聞かせください。
鈴木氏 ラピュタASRSについては、まずは売り上げ100億円の達成を第一の関門としている。国内の自動倉庫市場において、「自動化を検討するなら、ラピュタも候補に入れよう」と想起されるような、ベスト3には確実に入る存在を目指す。
尾形氏 ラピュタPA-AMRに関しては、シリーズ累計で2026年度中に受注ベースで1000台の大台に乗ると見ている。先日発表した重量検品モデルの投入によって、これまでとは異なる層の大手企業との付き合いも増えており、ここからさらに成長を加速させていきたい。
鈴木氏 また、これまでは3PLや卸売が中心だったが最近は製造業の「門前倉庫」などの引き合いも増えている。工場は一度ラインを組むと簡単に動かすことができないため、物流エリアを新たに確保しようとすると、余ったスペースや、以前は事務所として使っていたような場所に自動倉庫をねじ込む必要が出てくるからだ。従来の自動倉庫では設置不可能と断られていた場所でも、当社のモジュール式なら「この柱を避けてこう組みましょう」といった柔軟な提案ができる。この強みを生かして、製造業の市場を一気に獲得しに行きたいと考えている。
後編では、自動化が成功する企業、そうでない企業の違いや、CLO選任の義務化により物流現場の視座がどう変容していくかを深堀する。
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