検索
連載

機械要素から3D CADへ 「形を作る」前に考えたい設計の基本若手エンジニアのための機械設計入門(20)(2/2 ページ)

3D CADが使えるからといって、必ずしも正しい設計ができるとは限らない。正しく設計するには、機械要素に関するアナログ的な知識が不可欠だ。連載「若手エンジニアのための機械設計入門」では、入門者が押さえておくべき基礎知識を解説する。第20回は、これまで学んできた機械要素を「役割」と「力の流れ」の観点から整理し、要素設計と機械設計全体の関係、3D CADで形を作る前に考えるべきポイントを取り上げる。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

要素設計から、機械設計全体へ

 ここまでの内容を簡単にまとめると、

何をさせたいのか ⇒ 機械要素を選ぶ ⇒ どんな力がかかるのかを考える ⇒ 必要な強度や寿命などを満たすか確認する ⇒ 周囲の構造につなげる

という流れになります。

 そして、機械全体の設計へと視野を広げると、さらに考えるべきことが出てきます。

 例えば軸なら、材料は何にするのか、必要な強度はあるのか、どのように加工するのか。ベアリングを取り付ける部分なら、どの程度の寸法精度やはめ合いが必要なのか。ガイドを取り付ける面であれば、平面度や平行度も関係してきます。

 このように考えていくと、これまで本連載で取り上げてきたJIS製図、精度設計、材料、強度設計、信頼性設計といった知識が、ここで1つにつながります。学ぶときには別々の項目でも、実際の設計では、それらを行ったり来たりしながら1つの形を決めていくのです。

そして、3D CADへ

 ここから3D CADの話に移ります。

 3D CADというと、スケッチを描き、押し出して立体にし、穴を開ける、といった操作を思い浮かべる人も多いでしょう。もちろん、操作を覚えることは必要です。しかし、3D CADで形を作れることと、機械を設計できることは同じではありません。

 例えば、先ほどの直動機構を3D CADでモデリングし、モーター、カップリング、ボールねじ、ベアリング、ガイド、上部プレートを正しく配置したとします。干渉もなければ、一見すると完成したように見えるでしょう。

 しかし、上部プレートに荷重が加わったときにガイドは耐えられるのか、ベアリングの寿命は十分なのか、ボールねじやベースの変形量は許容範囲内なのか、といった設計上の判断は、部品を配置しただけではできません。

 3D CADは、設計者に代わって答えを出してくれるものではなく、考えたことを形にし、その形を見ながらさらに考えるための道具です。形にしてみることで、部品同士の干渉、組み立て方法、工具スペース、メンテナンス性など、頭の中だけでは気付きにくかった問題も見えてきます。そして、見つかった問題を基に設計を修正し、もう一度確認します。

考える ⇒ 形にする ⇒ 確認する ⇒ また考える

 この繰り返しこそが、設計なのです。

 次回からは、いよいよ3D CADについて考えていきます。従来の2D図面を中心とした設計と何が違い、3Dで考えることで設計はどう変わるのでしょうか。

 まずは、「3D CADとは何か」という基本を押さえながら、機械設計との関係を見ていきます。お楽しみに! (次回へ続く)

⇒ 連載バックナンバーはこちら

著者プロフィール

土橋美博(どばし よしひろ)
DOBASHI DESIGN LAB 代表/Founder&Principal

半導体組み立て関連装置メーカー、液晶パネル製造関連装置メーカー、製品設計会社を経て独立し、開発/設計/製造DXを現場経験で支援するDOBASHI DESIGN LABを創立。

ソリッドワークス・ジャパンユーザーグループ(SWJUG)、ワールドワイドのソリッドワークス・ユーザーグループネットワーク(SWUGN)のリーダーも務める。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る