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「取りあえずボルトで固定」は禁物 締結部設計で押さえるべき基本若手エンジニアのための機械設計入門(19)(1/2 ページ)

3D CADが使えるからといって、必ずしも正しい設計ができるとは限らない。正しく設計するには、機械要素に関するアナログ的な知識が不可欠だ。連載「若手エンジニアのための機械設計入門」では、入門者が押さえておくべき基礎知識を解説する。第19回は、ボルトを中心とする締結要素を取り上げ、締め付けによって生じる軸力や摩擦力、部品選定、工具スペースなど、締結部を設計する際の基本的な考え方を説明する。

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 これまで、機械設計7つ道具の1つである「要素設計」について、軸、軸受、歯車、ベルト、チェーン、カップリング、ガイドなど、さまざまな機械要素を取り上げてきました。

 機械要素とは、機械を構成する基本的な部品や機構のことです。機械は、1つの大きな部品だけで成り立っているわけではありません。「回転を支える要素」「力を伝える要素」「動きを案内する要素」「位置を決める要素」「部品同士を固定する要素」――。こうした多くの要素が組み合わさることで、1つの機械として機能します。

 軸受は軸を支え、滑らかに回転させます。歯車は回転速度やトルク、回転方向を変え、ベルトやチェーンは離れた軸間で動力を伝えます。リニアガイドは、直線運動を安定させるための機械要素です。

 これらは、機械の動きや力の流れを考える上で、比較的分かりやすい機械要素といえます。回る、動く、支える、伝えるといった機能が、目に見えやすいためです。

身近でも奥が深い締結要素

 では、機械要素の中で、最も身近で、最もよく使われているにもかかわらず、案外深く考えられていないものは何でしょうか。筆者は、その1つが「締結要素」だと思います。

 締結要素とは、部品同士を固定したり、結合したりするための機械要素です。用途によっては、位置決めや回り止めなどの役割も担います。代表的なものには、ボルト、ナット、小ねじ、座金、止めねじ、ピン、リベット、キー、スナップリングなどがあります。今回は、その中でも設計現場で使用する機会の多いボルトを中心に説明します。

 特にボルトやねじは、設計現場で日常的に使われる部品です。あまりにも当たり前に使うため、「取りあえずボルトで固定する」「スペースがあるからM6を入れる」「何となく4本で締結する」といった感覚で決めてしまいがちでしょう。

 しかし、締結要素は、機械の性能や信頼性を左右する重要な設計要素です。ボルトの呼び径や本数は、空いているスペースだけでなく、荷重条件や必要な締め付け力、相手材などを踏まえて決めなければなりません。

ボルトは「穴に通す部品」ではない

 ボルトを例に考えてみましょう。ボルトは、単に部品の穴を貫通して固定するだけのものではありません。

 一般的なボルト締結では、ボルトを締め付けることで、ボルトに軸方向の引張力、すなわち軸力が生じます。この軸力によって被締結体同士が強く押し付けられ、接触面に生じる摩擦によって部品同士がずれにくくなります。接触面にずれ方向の外力が加わった場合には、この摩擦が部品同士のずれを抑える役割を果たします。

 つまり、ボルト締結で重要なのは、ボルトの本数や太さだけではありません。「どの程度の締め付け力が必要なのか」「その締め付け力を相手部品が受けられるのか」「座面が変形しないか」「振動によって緩まないか」「工具が入るか」「組み立てや分解ができるか」――。こうした点まで考える必要があります。

 図1に示すように、ボルト締結では、締め付けによって発生する軸力と、それによって得られる接触面の摩擦抵抗が重要になります。

 従って、ボルトを配置するだけでなく、必要な締め付け力、座面の状態、相手材の強度、外力の大きさや方向を含めて検討しなければなりません。

ねじ締結モデル:締め付け力と摩擦力の関係
図1 ねじ締結モデル:締め付け力と摩擦力の関係[クリックで拡大]

 ボルトやナットは、設計者が自由に形を決められる部品ではありません。六角ボルトであれば「JIS B 1180」、六角ナットであれば「JIS B 1181」のように、形状や特性に関する規格があります。

 設計では、メーカーのカタログに記載された寸法だけを見るのではなく、必要に応じてJISを参照し、どの規格に基づく締結部品を使うのかを確認する姿勢が大切です。

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