2段階で進む日野と三菱ふそうのプラットフォーム統合、まずは中型トラックから:車両デザイン(2/2 ページ)
ARCHIONが成長に向けた施策の中核に位置付ける「統合プラットフォーム戦略」について説明。日野自動車と三菱ふそうトラック・バスがそれぞれ発表した中型トラックの国内向け新モデルを第1弾として統合プラットフォームを拡大し、2032年度までに総台数の85%以上を同プラットフォーム上で生産する方針である。
統合プラットフォームの開発期間は新型車と同程度の3〜5年を想定
早期に実施可能な既存プラットフォームの相互供給に次ぐ中長期を見据えた第2段階となるのが、日野自動車と三菱ふそうの強みを融合するとともに、両社の幅広い仕入先との共創を通じて統合シナジーを最大限に活用する統合プラットフォームの新規開発だ。第1段階の既存プラットフォームの相互供給は、短期に統合シナジーを出すための施策となるが、統合プラットフォームは新型車と同程度の3〜5年の開発期間が想定されている。
ARCHION CTOの小木曽聡氏は「ARCHIONが発足するまでは統合プラットフォームの開発に向けた具体的な活動はできなかったものの、統合交渉を進めてきた約3年間で日野自動車と三菱ふそうが互い理解するためのネットワークづくりを積み重ねることができた。このネットワークを基に、4月1日から統合プラットフォームの開発に向けた活動を順調に進められている」と語る。
統合プラットフォームの開発では、日野自動車と三菱ふそうの開発基盤と幅広い仕入先を生かしながら、パワートレイン、シャシー/キャブ、エレクトロニクス、コネクテッド、自動運転といった技術要素それぞれに両社の強みを生かしていくことになる。「重点部品で品質はどっちがいいのか悪いのか、コストはどうだ、それは基準と関係があるのかなど、互いに連携して議論している。それぞれの会社にあるものは尊重していくが、ARCHIONグループとして共通のより良いものを一歩ずつ作り上げていきたい。違いがあるから大変なのではないかといわれることも多いが、違いがあるから互いに学び合えると思っている」(小木曽氏)という。
中長期的にプラットフォームを統合するものの、日野自動車と三菱ふそうのブランドは維持する。小木曽氏は「両社とも歴史が長く幅広いラインアップを持つメーカーであり、顧客とも強い信頼関係で結びついている。だからこそ顧客のニーズに応えるための差別化は、それぞれやっていかなければならない。その一方で、商用車として求められる機能は統合プラットフォームでより賢く共通化して、競争力のあるものを提供できる基盤にしていく」と説明する。
なお、統合プラットフォーム戦略ではシナジー効果で創出したリソースにより、いわゆるCASE(コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化)技術の開発を加速することも目指している。特に自動運転技術については、日野自動車と三菱ふそうの技術に加え、大株主であるダイムラートラックとトヨタ自動車の技術支援が得られることもあり実用化に向けて高い優位性があるという。「自動運転ではフェイルセーフのための冗長系が求められるブレーキやステアリングなどをサプライヤーと共同開発していく必要がある。早期に実用化していく上で、日野自動車、三菱ふそう、ダイムラートラック、トヨタ自動車がそれぞれやっていたことを生かして1つにまとめられることは大きい」(小木曽氏)としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ARCHIONが日野と三菱ふそうのシナジー創出へ、コネクテッドデータを融合
日野自動車と三菱ふそうトラック・バスを統合したARCHIONは、両社の技術や顧客基盤などを融合したシナジー創出を期待されている。その先行的な事例となるのが、両社のコネクテッドデータを組み合わせたデータ分析サービスである。
日野と三菱ふそうを統合したARCHIONが発足、日本を拠点に世界トップ10目指す
日野自動車と三菱ふそうトラック・バスの経営統合により設立された持ち株会社ARCHIONが2026年4月1日、発足した。商用車メーカーとして世界トップ10を目指すなど、新たな経営体制の下で事業を拡大する方針を示した。
日野三菱ふそうの新会社ARCHIONの経営体制、事業会社2トップはダイムラーから
日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは、2026年4月1日に発足するARCHIONグループの経営体制について説明した。
日野自動車はCLOを軸にしたロジスティクス戦略で「現場から経営を変える」
日野自動車はHacobu主催の「Hacobu Innovation Day 2026 for CLO&Leaders」に登壇。物流を経営の最前面に位置付け、早くからCLOを起用した理由を同社 代表取締役社長CEOの小木曽聡氏が語った。
三菱ふそうが取り組むEVのeCanterとディーゼルCanterの混流生産 その秘訣は何か
三菱ふそう・トラックバスは同社のEVトラック「eCanter」の生産設備/体制の説明と川崎製作所の工場内を報道陣に公開した。本稿ではeCanterの生産ラインに焦点を当てて、川崎製作所のモノづくりを紹介していく。
三菱ふそうの使用済みEVバッテリーはセカンドライフを経て再び電池材料に戻る
三菱ふそうトラック・バス、CONNEXX SYSTEMS、True 2 Materialsは、車両の使用済みバッテリーの処理体制「バッテリーライフサイクルマネジメント/サーキュラーエコノミー」の取り組みについて説明した。

