“日本の脳+中国の身体”に勝ち筋? フィジカルAI、日本の取るべき戦略とは:FAイベントレポート(3/3 ページ)
中国では、ヒューマノイドの華やかなデモにとどまらず、四足歩行ロボットが地下の送電ケーブルトンネルなどで実運用に入っている。こうしたフィジカルAIの社会実装を支える中国の競争力は、何に由来するのか。そして、日本企業はどの領域で勝機を見いだせるのか。SUGENAが開催したセミナーから、中国のフィジカルAIを支える構造や現場の実例、日本企業が取るべき戦略を読み解く。
中国製ハードを生かし、日本が“脳”とデータを
これらを踏まえ、日本企業は、中国が先行するフィジカルAIにどう向き合うべきか。量産規模で競おうとしても、EVで培った部品供給網を持つ中国に、日本が単独で挑むのは難しい。かといって、中国製ハードに全面的に依存すれば、AIやデータまで海外任せになりかねない。
そこでSUGENAが示したのが、中国製ハードを活用しつつ、その上で動くAIや業務アプリ、データ管理を日本側が担うという構成だ。
須毛原氏は、こうしたレイヤーごとに異なる企業の技術を組み合わせる例として、NVIDIAが2026年5月に発表したヒューマノイドのレファレンスデザインを紹介した。これは「身体」には中国Unitreeのヒューマノイド「H2 Plus」を、「頭脳」にはNVIDIAの演算基盤とロボット開発基盤を用いる構成となっている。
こうした役割分担において、須毛原氏が勝敗を分けると見るのがデータだ。フィジカルAIは、現場で稼働して得たデータを学習し、性能を高める。中国製ロボットで得られた現場データを国内で処理し、日本側のAIやアプリケーションの改善に利用する。須毛原氏は「データは日本で処理して、日本の頭脳で賢くしていく。日本国内で回していくことが、データという最大の資産を日本に置くことであり、経済安保につながる」と説明した。
また、両国の強みを組み合わせる余地は、ロボットの動作にもある。鐘氏によると、中国のロボットは移動や運動制御に強みを持つ一方、物流現場で求められるアームやハンドの制御には、なお課題がある。そこで、「日本が蓄積してきたアーム制御技術と中国製ロボットを組み合わせれば、世界最強になる可能性がある」と鐘氏は述べる。
須毛原氏は「中国製か米国製かといった国籍で捉えるのではなく、どの領域を海外の技術に依存し、どの領域を日本の技術で作り上げていくのか。それを一緒に考えていただきたい」と呼びかけた。
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