建造から約40年でも新技術に対応、カナダ沿岸警備隊船「ローリエ」の操舵室:イマドキのフナデジ!(17)(3/3 ページ)
「船」や「港湾施設」を主役として、それらに採用されているデジタル技術にも焦点を当てて展開する本連載。第17回は、カナダ沿岸警備隊船「サー・ウィルフリッド・ローリエ」を取り上げる。
電子海図があるのに紙海図を使う理由
操舵室後列は、航海計画の作成と船位の確認を担うチャートワークエリアだ。中央の海図台には紙海図を広げるエリアを確保し、その上方に2面の電子海図表示装置を配置する。電子海図では、自船位置や針路、航路計画、周辺海域の情報を重ねて表示し、航行状況を継続的に確認できる。周囲には、GNSSによる位置/速力表示器、無線通信装置、船橋当直の運用情報を示す画面、紙の航海日誌なども置かれている。航海情報の確認、記録、関係部署との連絡を1つの区画で行える構成だ。
なお、紙海図は広い海域を一覧しやすく、航路や注意点を“手書き”で書き込みながら検討できる。画面の切り替えを伴うECDIS(電子海図情報表示装置)に対し、複数の海域や航海計画を並べて比較できることも利点だ。また、紙海図は、電子海図表示を補完する参照手段としても利用できる。既存の広い海図台を残し、その周囲へECDISや測位/通信機器を追加した構成は、従来の航海実務を維持しながらデジタル化を進めた段階的更新の実例といえる。
操舵室左舷後列のコンソールは、船内安全、設備状態、通信を一括して監視/指令する区画だ。左側の船体平面図は火災警報と水密扉の表示盤で、各甲板に配置した感知器の作動や、水密扉の開閉状態を位置とともに確認できる。その隣には火災警報受信盤と、ヘリコプター甲板の消火設備を迅速に扱うための操作部を配置する。
中央では、燃料油、潤滑油、廃油、清水、バラスト水などの各種タンク系統を選択し、状態の確認や操作を行う。その右側には航海灯の点灯状態を監視して操作するコンソール、船内放送やインターフォンの通報先を選ぶ操作盤、無線機や電話機などが並ぶ。減揺用フルームタンクに関する左右舷側の弁操作部も設けている。
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