DMG森精機、最大生産拠点の現場デジタル化と工程集約:メイドインジャパンの現場力(2/2 ページ)
本稿では、DMG森精機の伊賀事業所における、複合加工機やAMRを活用したボールねじ製造の工程集約と、製造支援プラットフォーム「TULIP」とデジタルゲージを連携させた検査自動化の事例などを紹介する。
現場のあらゆるデータを「TULIP」でつなぐ
近年は製造現場のデジタル化にも力を入れている。そこで活用しているのが、米国企業Tulip(チューリップ)Interfacesが開発した製造支援アプリケーション作成プラットフォーム「TULIP」だ。DMG森精機は2019年に資本、業務提携しており、伊賀事業所にも導入している。
工作機械1台を完成させるまでには、短い機種でも約20工程、20日間(200時間)ほどの長いプロセスとなっている。大量生産される自動車の組み立て作業のように分単位で同じ作業を繰り返すラインとは異なり、工作機械は同じ機種であっても顧客のニーズによってオプションなどの仕様が細かく異なるため、機械ごとに作業要領が変わる。
下川氏は「TULIPが上位のシステムからそれらの受注データを受け取り、それぞれの機械の仕様に合ったデジタル作業手順書を自動的に作り、それを見ながら作業する形になっている」と語る。さらに、作業者のスキルレベルに応じて手順書の表示内容を変える工夫も行われている。
こうした中、2025年から行っているのが、TULIPと連携したデジタルゲージによる自動計測だ。
グループ会社であるマグネスケールのデジタルゲージ「DS805SR」と無線機能付きデジタルインジケーター「μMATE+(ミューメイトプラス)」を使った機械精度の倣い計測を実施。測定結果は人を介さず自動的にTULIPに送られ、合否判定まで行われる。デジタルゲージの繰り返し精度は0.1μmとなっている。
従来は、てこ式ダイヤルゲージを用いており、測定結果を目視で確認していたため、測定値の読み間違いや記入間違いの可能性があった他、人が機内に入り測定する作業が生じていた。また、てこ式ダイヤルゲージの繰り返し精度は1μmだった。
電動トルクレンチの締め付けトルクのデータもTULIPに自動記入されている。一部の横型マシニングセンタでは、41項目の機械精度測定のうち38項目で自動計測を実施している。これらの取り組みによって、手書きによる記入ミスや改ざんを防ぎ、品質保証と作業負荷の大幅な軽減を実現している。
組み立て現場ではスマートフォンやタブレット端末で作業の着完情報など入力しており、組み立て中の機械の前に置かれた電子ペーパーで進捗状況や品質情報をモニタリングできる。
「予備品の手配や定期的な部品交換、次シフトへの引き継ぎなど、TULIPは現場で起こるあらゆるイベントのデジタル化が可能となっている。加工現場でも、工具の寿命や折損の有無、在庫/調達の状況などの管理に使っている。従来はシステムが別々で人が介在して回していた。TULIPはデータ連携が一番得意だ。必要なデータを全てつなげて、必要な部署が必要な時に使えるようになった」(下川氏)
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