2028年度にAI関連売上高を約2倍に引き上げるパナソニック インダストリーの勝算:パナソニックグループのAIインフラ戦略(前編)(2/2 ページ)
パナソニックグループはなぜAIインフラ領域に注力し、そこにどのような勝算があるのだろうか。前編では、電子部品や材料などを展開するパナソニック インダストリーの取り組みを紹介する。
AI領域の商品数を2倍に増やし、製品供給能力も2倍に増強
AI領域製品の一層の成長を目指し、さらなる投資も進めていく。高機能多層基板材料である「MEGTRON」シリーズについては、需要成長に先回りする形で2030年度までに現在の供給能力の2倍以上に拡大する。具体的には2026年度第3四半期に中国の蘇州、2027年度第1四半期に広州、2027年度第3四半期に、日本の郡山、台湾、タイのアユタヤで新ライン増設も含め、生産能力の増強を行う。
同様に導電性高分子コンデンサーについても2030年度までに生産能力を2倍以上に拡大する。国内の佐賀、熊本、海外のマレーシア、インドネシアで2027年度以降に段階的にライン増強を進める。「導電性コンデンサーについては約20年前からインテルのCPU周辺の回路や、NVIDIAのGPU周辺の回路にレファレンスとして採用され始めた。その後、PCからサーバなどに広げつつ、新設計になるたびに技術的に追従し関係性を保ってきた。その実績が強みとしてある」と小澤氏は述べている。
一方、AIサーバについてはMLCC(積層セラミックコンデンサー)の特性の方が強みを発揮し、パナソニック インダストリーが展開する導電性高分子コンデンサーは不利なのではないかとも見られているが、小澤氏は「基本的にはMLCCと導電性高分子コンデンサーは補完関係にあると考えている。GPUの近くはMLCCを使い、その周辺では導電性高分子コンデンサーを使うという設計が基本で、それは変わらない。この導電性高分子コンデンサーが担う部分を取りに行く」と語る。
商品の拡大にも積極的に取り組む。その中で特に拡大を進めるのが、新たにAIサーバ向けで製品投入を開始するスーパーキャパシターだ。パナソニック エナジーと協力し、従来車載向けで展開してきた実績を生かして応用を進め、CBU(キャパシターバックアップユニット)ソリューションとして展開を開始する。スーパーキャパシターモジュールの量産を2026年度中に開始する。さらに、キャパシター新製品を2026年度末に投入予定としている。
さらに、設備投資を拡大し研究開発を加速させることで新たなデバイスの創出に取り組む。具体的には、AI関連商材において、2026〜2028年度の3カ年で1500億円の投資を行う。これは前中期(2023〜2025年度)の3倍の規模だという。「1500億円の内訳は、基板材料が600億円規模、コンデンサーの設備投資が600億円規模、その他が300億円規模と見込んでいる。リレーやインダクターなど車載で実績がある製品をAIサーバ周辺で使用できる可能性があるので、これらを転用していく」と小澤氏は考えを述べている。
研究開発については、門真拠点に設置された自動実験が可能なスマートラボ自動実験室の活用を拡大し、開発リードタイムの短縮を進めるとともに、オープンイノベーションを進め、革新デバイスの創出を目指す。新たに開発したデバイスは2028年度までの量産を目指すとしている。小澤氏は「コンデンサーのラインアップとして高電圧領域が手薄であるため、独自技術によるユニークな製品を2028年度までに形にしたい。具体的には、高圧直流送電(HVDC)用コンデンサーを中心に考えている」と説明する。
これらの取り組みを進めることで、AI関連の売上高を、2025年度の2300億円から、2028年度には4300億円、2030年度には5000億円以上に引き上げる計画を示している。
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