極細センサーワイヤに透明アンテナ――カーエレクトロニクスの最前線を追う:人とくるまのテクノロジー展2026レポート(2/4 ページ)
「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」に出展した600を超える企業/団体の展示の中から、カーエレクトロニクス関連を中心に、新しいソリューションや新しいテクノロジーをピックアップしてお届けする。
世界初のタイヤ埋め込み型RFIDセンサー――村田製作所
村田製作所はタイヤ用RFIDセンサーを展示した。RFIDコントローラーの他、ひずみセンサーや温度センサーを内蔵しており、タイヤのゴムにかかる応力や温度をワイヤレス、かつ、バッテリーレスでセンシングできるのが特徴だ。同社はタイヤの個体管理やライフサイクル管理を目的としたRFIDタグをフランスのミシュランに供給しているが、センサーまでを内蔵したタイヤ用RFIDタグは「世界初」(村田製作所の説明員)とのことであった。
村田製作所が開発中のタイヤRFIDセンサー。両端に出ているバネ状の金属はアンテナ。リーダーを近づけると電力が与えられてRFIDチップが作動し、個体識別データ(SGTIN-96フォーマット)とセンシングデータを送信する。周波数は標準のRAIN RFIDで用いられるUHF帯を使用[クリックで拡大]
このRFIDセンサータグは、現行のRFIDタグと同じように、個体管理の目的もあってサイドウォール部分のゴムに埋め込んで使うことを想定している。タイヤの内側に貼り付けるわけではないので、空気圧などのタイヤ内部状態の常時センシングに使うのは難しいとしている。
応用の一つがタイヤのわずかな変形を利用した路面状況の検知だ。村田製作所では自動運転技術を研究している金沢大学と共同で検証を進めているという。また、タイヤメーカーの興味関心も高いとのことであった。
ミシュランが2024年から採用している村田製作所の個体管理用RFIDタグについては別記事を参照いただきたい。
その他に村田製作所は、ブースのかなりの面積を利用して、同社が新しく開発した超音波センサー「サーモホン」を組み込んだAMR(自律走行搬送ロボット)のデモを行っていた。サーモホンには、最短で1cmまでの距離を検知できる、微小な段差や透明な物体も検知できる、などの特徴があり、共創パートナーを募ってAMRやロボットへの応用を探っていく考えである。
サーモホンの詳細については別記事を参照されたい。
新エネルギーエンジン向けセンサー――日本特殊陶業
日本特殊陶業(Niterra)は、NTKブランドで、水素エンジン向け排ガスセンサーとアンモニア燃料排ガスセンサーのプロトタイプを展示した。
写真内上側が水素エンジン向け排ガスセンサーのプロトタイプ、同下側がアンモニア燃料排ガスセンサーのプロトタイプである。展示ブースにはこれらの他に水素エンジン用スパークプラグのプロトタイプも展示されていた[クリックで拡大]
このうち水素エンジン向け排ガスセンサーは、水素エンジンや水素ボイラーを対象にしている(燃料電池における水素リーク検知を対象にはしていない)。高温かつ結露(被水)の条件においても排ガスに含まれるH2濃度とO2濃度を同時にセンシングできるという。空燃比(空気と水素の比:λ)の補正の他、ピストンとシリンダーの隙間からクランクケースへとリークするブローバイガス(未燃焼ガス)の濃度検知などに使用する。市場投入は2027年を予定する。
アンモニア燃料排ガスセンサーは、船舶などへの搭載が期待されているアンモニアエンジン向けである。同社が持つジルコニアを使ったO2センサー技術を応用して開発した。
従来のNOxセンサーを使用しても「NH3干渉」としてNH3(アンモニア)は検知できるが、よりNH3濃度が高い条件にも対応した。また、NH3の他に、燃焼で生成されるNOxのセンシングも可能である。
水素もアンモニアも地球温暖化ガスのCO2を排出しない次世代のエネルギー源として注目されていることは周知の通りだ。同社はNGKブランドで水素エンジン用のスパークプラグも開発中であり、センサーと合わせて新エネルギーの応用拡大に向けて提案していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

