CEATEC AWARDから6年越しの商品化、村田製作所の超音波デバイス「サーモホン」:人とくるまのテクノロジー展2026
村田製作所は、「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」において、AMRなどの位置検知センサーとして利用できる非振動型広帯域超音波発生デバイス「サーモホン」を披露した。
村田製作所は、「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」(2026年5月27〜29日、パシフィコ横浜)において、AMR(自律搬送ロボット)などの位置検知センサーとして利用できる非振動型広帯域超音波発生デバイス「サーモホン」を披露した。一般的な超音波センサーと異なり、mm単位の高精度の位置検知や最短1cmの近距離検知が可能なことを特徴とする。今後は仕様を調整した上でサンプル出荷の準備を進めたい考えだ。
サーモホンは、熱エネルギーで周囲の空気を膨張させて広帯域の超音波を発生させることを特徴としている。振動によって発生させる一般的な超音波センサーと比べて超音波が広帯域なので高精度の位置検知が可能だ。また、残響の問題により15cm以下の近距離の検知が難しい一般的な超音波センサーと比べて、最短1cmまでの近距離検知に対応する。光学情報を用いカメラやLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)では検知が難しい透明体や黒体、金属などもしっかり検知できる。
実はサーモホンは、コロナ禍が直撃しオンライン開催となった「CEATEC 2020 ONLINE」において、「CEATEC AWARD 2020」オープン部門 準グランプリを受賞している。このときは開発中の試作製品だったが、6年越しの今回は商品化に向けてサーモホンという名称を付けての出展となった。
今回出展したサーモホンは、CEATEC AWARD 2020の対象となった非振動型広帯域超音波発生デバイスを中央に置き、その左右にマイクを配したモジュールとなっている。外形寸法は61.2×33.2×11.65mmで、モジュール内部には発生させた広帯域超音波の反射波を2つのマイクで受信して2チャネルのToF(Time of Flight)情報を算出するマイコンも組み込まれている。この2チャネルのToF情報を基にした2D検知が可能なので、サーモホンの周囲を広範囲に検知できることもメリットになる。検知距離は最短で1cm、最長は50cm〜2m(周囲ノイズ音環境に依存)だ。
展示ブースでは、4つの側面にサーモホンを取り付けたAMRを用いたデモで、壁際ギリギリの走行、透明な板や床下にある物体を検知しての回避などを自律的に行えることを示した。
なお、現行のサーモホンはインタフェースがSPIやI2C、GPIOとなっており、主な用途として想定するAMRや協働ロボット、ロボットハンドなどに適用するのに必要な一定以上の長さのケーブルと組み合わせづらいことが課題になっている。「これらインタフェースについて再度検討した上でサンプル提供できるように準備を進める」(村田製作所の説明員)という。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
宇宙とつながる、“痛み”を伝える、声を選ぶ――CEATEC AWARD 2025の注目技術
JEITAは「CEATEC 2025」の開催概要とともに、出展企業から優れた技術を表彰する「CEATEC AWARD 2025」を発表。シャープが総務大臣賞、NTTドコモが経済産業大臣賞、村田製作所がデジタル大臣賞を受賞した。
村田製作所は全固体電池を2020年度中に量産へ、リチウムイオン電池も高出力化
村田製作所はオンライン展示会「CEATEC 2020 ONLINE」に出展する電池関連製品について説明。全固体電池は開発が順調に進んでおり、2020年度中(2021年3月まで)の量産開始という当初計画に変更はない。また、円筒型リチウムイオン電池については、50〜60Aの大電流出力が可能な製品を開発しており2022年4月に投入する計画である。
騒音下でもはっきり声が届く 村田製作所がマスク装着型デバイスを披露
村田製作所はCEATEC 2025において、マスクの振動を拾って正確な音声を相手に届ける「mask voice clip」を披露した。
超音波センサーの世界市場規模、2035年に1兆4179億円の成長を予測
矢野経済研究所は、超音波センサーの世界市場に関する調査結果を発表した。自動運転システムでの併用や空中超音波センサーの需要拡大などを背景に、2035年には同市場が1兆4179億円規模に成長すると予測している。
村田製作所がみなとみらいに未来のモビリティの共創スペース、略して「MMM」
村田製作所が車載ソリューションのリアル体験型施設「MURATA みらい MOBILITY」をリニューアルし報道陣に公開した。今後は年間で約250件の来場を見込む。
村田製作所が超音波透過メタマテリアルを開発、障害物を透過して超音波を届ける
村田製作所は、「CEATEC 2023」において、表面に張り付けるだけで障害物を透過して超音波を届けられようにする「超音波透過メタマテリアル」を披露した。

