カネカが結晶シリコン型太陽電池の限界を突破、配線も効率化可能:人とくるまのテクノロジー展2026
カネカは「人とくるまのテクノロジー展 2026」で、LFPと比較して放電容量が1.6倍のリチウムイオン電池用正極材と、セル変換効率32.6%を誇る「3D曲面ペロブスカイトタンデム太陽電池」を披露した。
カネカは、「人とくるまのテクノロジー展 2026 YOKOHAMA」(2026年5月27〜29日、パシフィコ横浜)に出展し、開発品として、低ニッケル比率でコバルトフリー設計のリチウムイオン電池用正極材や3D曲面ペロブスカイトタンデム太陽電池を披露した。
技術的ハードルは充放電サイクルの寿命
これまでのリチウムイオン電池は、コバルトやニッケルといった高価なレアメタルが必要だった。特にコバルトは価格変動が激しく、課題となっている。そこで同社は、低ニッケル比率でコバルトフリー設計のリチウムイオン電池用正極材の開発を進めている。同材料はコバルトと比べて安価なマンガンをベースとしたものだ。
同社は、開発品の正極材と、リン酸鉄リチウム(LFP)、NMC811の放電容量を比較した。その結果、今回の正極材の放電容量が、NMC811と比べて1.3倍で、LFPと比較して1.6倍であることが分かった。
同社の説明員は「技術的ハードルは充放電サイクルの寿命だ。今回の正極材では、30回程度の充放電サイクルであれば、放電容量維持率でほぼ100%を保てる。今後は、充放電サイクル100回、1000回、1万回でも高い放電容量維持率を保てるように、構造技術と材料設計技術を駆使して、この材料の開発を進める」と話す。
その上で、「今回の正極材が完成すれば、この正極材を用いてリチウムイオン電池を作製した場合、中国製のLFP電池と比較して重さは約3分の1、サイズも半分程度にまで小型化および軽量化できる可能性がある。早ければ2、3年のうちには完成のめどを立てたい」と補足した。
「2端子型」で配線を効率化
現在主流の結晶シリコン型太陽電池は、セル変換効率が26〜27%程度で理論上の限界に達しつつある。そこでカネカは、ペロブスカイトを結晶シリコンの上に積層させた3D曲面ペロブスカイトタンデム太陽電池の開発を推進している。同電池は、ヘテロ接合型の結晶シリコンを活用することで、タンデムセルとしてセル変換効率32.6%を達成した。
同電池のトップセルはペロブスカイト層で、ボトムセルはヘテロ接合型の結晶シリコン層となっており、2つの層が一体化しているため、配線の効率化を図れるという。カネカの説明員は「中国の電池メーカーが開発を進めている、ペロブスカイトと結晶シリコンを組み合わせた太陽電池は『4端子型』だ。4端子型は結晶シリコン層とペロブスカイト層の各層に+端子と−端子があり、別々に電気を取り出すため、構造が複雑になり部品点数が増えてしまう。一方、当社が開発を進める3D曲面ペロブスカイトタンデム太陽電池は『2端子型』で、上部と下部に端子を1つずつ設ければ、それらからまとめて電気を取り出せる」と述べた。
加えて、「スペースが極度に制限される自動車のルーフにおいては、配線が複雑化する4端子型よりも、圧倒的にスマートな2端子型が有利だ。これを可能にしているのは、カネカがこれまでの開発で培ってきた『アモルファスシリコンを用いたヘテロ接合』のノウハウだ」とコメントした。
同社では、まずは戸建て住宅向けなどを対象とした3D曲面ペロブスカイトタンデム太陽電池の量産を2028年ごろにスタートし、将来的に車載用パネルでの採用を目指して展開する考えだ。
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