スズキ、排出ガス中のCO2を回収し農場で再利用できる「スーパーキャリイ」披露:人とくるまのテクノロジー展2026
スズキは「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」で、同社の「スーパーキャリイ」にCO2回収システムを搭載した「CARBON CAPTURE CARRY」を披露した。同車両は走行時に車両から排出されるCO2を回収し、農業用ビニールハウスなどでCO2の再利用を可能とする。
スズキは「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」(会期:2026年5月27〜29日、パシフィコ横浜)で、同社の「スーパーキャリイ」にCO2回収システムを搭載した「CARBON CAPTURE CARRY」を披露した。同車両は走行時に車両から排出されるCO2を回収し、農業用ビニールハウスなどでCO2の再利用を可能とする。
スズキは2025年9月に開催した同社の技術戦略説明会で、カーボンニュートラルに向けた新たな取り組みの概要を公表した。これを達成するために、CARBON CAPTURE CARRYの実用化に向けた開発を進めている。
スーパーキャリイに搭載するCO2回収装置は、既存の車両に組み込むことができる汎用(はんよう)性を持たせた設計を施しており、車両の改造も最小限にとどめることができる。「排気管にシステム導入のための経路を追加する程度の改造で済む」(スズキの説明担当者)。
具体的なCO2回収の流れとしては、まず排出ガスを吸い取り、これを吸湿材と吸着材でH2OやCO2に分離可能な温度(約50℃)まで冷却し、先に排出ガス内のH2Oを吸着させる。その後、スーパーキャリイに取り付けた回収タンクへCO2を集める。
この回収タンクは20kmの走行で満タンになり、約1kgのCO2を回収できるという。「20kmという距離は、農家の方が自宅から農場まで移動する距離が片道約10kmであることを想定している。そのため、1往復で回収タンクが満タンになる」(同担当者)。農場に到着後は、バルブから流路を切り替えて回収したCO2に熱を加える。これによりCO2を脱離させ、ビニールハウスに供給する。
技術的な特長について「エンジンの排出ガスを扱う都合上、CO2回収システムには熱や振動を考慮した設計を施している。また、システムをコンパクトにするために、4つの三方弁バルブを採用し、ガスの流路についてもこだわっている」(同担当者)と語る。
スズキは今後も同システムの実用化に向けた開発を進めるとともに、同社内の農場を模擬したテストコースなどで実証を行う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ECUの一体化で進化したトヨタの「新型TSS」 RAV4の安全走行を支える技術とは
トヨタ自動車は「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」で、同社の予防安全システムである「新型Toyota Safety Sense(新型TSS)」の技術概要と、同システムに採用されているフロントカメラセンサー、フロントレーダー/前方ミリ波、ドメインコンピュータのサンプル品を披露した。
ボッシュとオモビオのソフト子会社が禁断のタッグ!? ADAS向けソフト基盤で協業
イータスとエレクトロビット日本は、「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」において、両社が協業して構築したADAS向けソフトウェア基盤のデモ展示を披露した。
新型「bZ4X」の走行距離が伸びた理由、デンソーの「世界初」と「世界最高」が貢献
デンソーは、「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」において、「世界初」となる独自3次元構造のSiCパワー半導体と、「世界最高」の出力密度とするコアモジュールを組み込んだ新型インバーターを披露した。
10年先に向けたスズキの技術戦略、「100kg軽量化」にめど
スズキは10年先に向けた技術開発についてまとめた「技術戦略2025」を発表した。2024年に発表した技術戦略の進捗を明らかにした他、CO2を回収/活用する「カーボンネガティブ」に取り組む方針を示した。
スズキが農家と共同でBEV軽トラックに関する実証実験を開始
スズキは、静岡県浜松市、静岡県湖西市、愛知県豊川市、熊本県阿蘇郡の農家と共同で、同社の軽トラック「キャリイ」をベースにしたBEV軽トラックの実証実験を開始した。期間は2026年2月から約1年間を予定している。
スズキの多目的電動台車が移動型Wi-Fi基地局の足に、直方市のイベントで実証
スズキは、福岡県直方市の遠賀川河川敷公園で開催された「のおがたチューリップフェア」の屋外臨時駐車場で実施された新たな駐車場決済/管理ソリューションの実証実験に多目的電動台車「MITRA」で参画したと発表した。


