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Astemoと日立が運転支援AI開発基盤構築の狙いを説明、「SDVのさらなる強化へ」車載ソフトウェア(2/2 ページ)

Astemoと日立製作所は、自動運転車両に搭載されるAIである「運転支援AI」の学習/検証/展開のプロセスを革新する新たなAI開発基盤を構築する。日立のフィジカルAIをテーマとするイベント「Hitachi Physical AI Day」内の講演で、Astemoと日立の担当者が同基盤を構築する狙いについて説明した。

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Sim2Real問題への対応では「仮想環境をよりフォトリアリスティックに」

 Astemoとの協業において日立は、世界的なデータ分析コンペティションであるKaggleに世界大会で3位に入賞した諸橋氏が率いるチームが中心となって取り組みを進めている。講演では諸橋氏が、Astemoと構築を進めている運転支援AI開発基盤について紹介した。

 運転支援AI開発基盤は、主にAstemoが開発担当する実車を用いたフィジカルAIのレイヤーと、日立が貢献するデータ収集、AIデータ創出、MLOps(機械学習オペレーション)、不具合解析から成るData Driveのレイヤー、運転支援AIのソフトウェアや実車に組み込むECUのソフトウェアの開発を効率的に行うAIエージェントのレイヤー、基盤となるITインフラのレイヤーに分かれる。長塚氏は「実車での検証は必要不可欠だが開発の後の段階で行うこともあり、ここで問題が見つかると手戻りが大きい。この手戻りをなくすためにも、仮想環境であるデジタルツインを用いた検証が果たす役割は大きい」と強調する。

運転支援AI開発基盤の全体像
運転支援AI開発基盤の全体像。左側のフィジカルAIのレイヤーはAstemoが、右側のData Drive、AIエージェント、ITインフラのレイヤーは日立が担当する[クリックで拡大] 出所:日立

 デジタルツイン開発/検証のプロセスは「シミュレーションデータ作成」「AIモデル学習(模倣学習)」「オープンループ評価」「クローズドループ評価」の4段階で進めているという。

デジタルツイン開発/検証のプロセス
デジタルツイン開発/検証のプロセス[クリックで拡大] 出所:日立

 「シミュレーションデータ作成」では、運転状況に関するシナリオを定義した上でシミュレーションデータを自動で作成し、併せてアノテーション情報も自動で生成する。「実車を使ってデータ収集するとなると何十〜何百時間かかるし、そこにアノテーションまで行うと膨大な時間を要することになる」(諸橋氏)という。また、仮想環境ではさまざま事故につながるようなシーンを作り出せることもメリットになる。

シミュレーションデータ作成
シミュレーションデータ作成[クリックで拡大] 出所:日立

 「AIモデル学習(模倣学習)」では、作成したシミュレーションデータを使って、人による模範的な運転を基にする模倣学習によってAIモデルの学習を行う。諸橋氏は「従来はルールベースのAIモデルが多かったが、いわゆるE2E(エンドツーエンド)のAIモデル開発に移行している。現在は、認識(Perception)と運転操作計画(Planning)の2段階に分ける2ステージアプローチで取り組んでいる。この方が、AIモデルのブラックボックスの系が大きくなりすぎない」と述べる。

AIモデル学習(模倣学習)
AIモデル学習(模倣学習)[クリックで拡大] 出所:日立

 「オープンループ評価」では学習に使っていないシミュレーションデータを用いて未来軌道の予測誤差を計算する。「クローズドループ評価」は、AIモデルをシミュレーター環境上に車両に搭載して走行テストを行うより本格的な評価となる。

オープンループ評価
オープンループ評価[クリックで拡大] 出所:日立
クローズドループ評価
クローズドループ評価[クリックで拡大] 出所:日立

 諸橋氏は、シミュレーション環境で開発したAIモデルを実車に適用した際に性能が大きく低下する「Sim2Real問題」への対応についても言及した。「仮想環境をよりフォトリアリスティックにすることでギャップを埋める必要がある。その手段としては、NVIDIAの『Cosmos』に代表される世界基盤の使用や、実際の街並みの画像や映像から3D空間を創り出す3DGS(3D Gaussian Splatting)などの適用を検討している」と述べている。

 Astemoと日立は、2026年度までに開発する運転支援AI開発基盤について、まずは自動車メーカーに納入する車載システム開発で活用していく方針である。さらに、自動車メーカーやサプライヤーをはじめとする自動車業界のパートナー企業に、IoVプラットフォームを含めて必要とされる機能を提供していく考えだ。将来的には、物流やエネルギーといった多様な分野にも展開し、産業の垣根を越えたデータ連携を促進することで横断的に社会価値を生み出すエコシステムの形成を目指すとしている。

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