厚さ約25μmの神経シートを開発、光刺激と記録を同時に実現:医療技術ニュース
名城大学と獨協医科大学は、16個のマイクロLEDと32チャンネルの電極を一体化した厚さ約25μmのフィルム型デバイスを開発した。マウス脳の頭頂部から側頭深部まで広範囲の光刺激と記録を同時に可能にする。
名城大学は2026年4月28日、マウス脳を広域カバーする、フィルム型神経デバイスを開発したと発表した。16個の窒化ガリウム(GaN)系マイクロLEDと32チャンネルの皮質脳波(ECoG)電極を、厚さ約25μmのフレキシブルシート上に一体化したデバイスとなる。獨協医科大学との共同研究による成果だ。
光遺伝学(オプトジェネティクス)を用いた神経活動制御は、神経科学のツールだ。しかし、従来の光ファイバーは、単一部位の照射に限定されるという課題があった。フレキシブルデバイスはこの課題を克服するが、これまでマウスでは頭頂部付近への留置に限られており、島皮質や梨状皮質といった重要な機能を持つ大脳皮質側頭や深部皮質へのアクセスは困難だった。
脳を貫通せずに頭頂部から側頭深部までの広域をカバーするには、頭蓋骨と脳の間の隙間に挿入できる厚さ20〜30μm以下のデバイスが必要となる。そのため研究グループは、GaN系半導体の薄膜をフレキシブル基盤であるパリレンC上に貼り合わせることで、デバイスの厚さを約25μmに抑えた。
有機材料のパリレンC基板は高温に弱いため、160℃以下でもLED薄膜を接合できるように、LEDの電極面を平らにするコプレーナ電極構造とインジウム金属を介した低温接合技術を新たに作製した。開発したシート状デバイスは、16個のGaN系マイクロLEDと32チャンネルのECoG電極を搭載し、光遺伝学に必要な光強度と柔軟性を兼ね備えている。
光感受性タンパク質(ChR2)発現マウスを用いた実証実験では、視覚、聴覚、体性感覚、嗅覚の4種類の感覚刺激に対して、それぞれの感覚野から誘発応答を同時に記録することに成功。1枚のシートで、広範な皮質領域に同時アクセスできることが示された。
さらに、搭載したマイクロLEDによる光刺激により、特定の部位で局所的な神経活動を再現性よく誘発できることを確認した。名城大学によると、光による神経刺激と電気的な記録が同時に可能で、背側皮質を超えた広域皮質にアクセスできる双方向インタフェースは世界初だという。
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