「成長していないパナソニック」から脱却へ、楠見CEOが「MIF」で描く次の一手:製造マネジメント インタビュー(2/2 ページ)
パナソニック ホールディングス グループCEOの楠見雄規氏は報道陣の合同取材に応じ、2026年5月12日に発表したグループ経営戦略に込めた考えについて説明した。
その他の主な質疑応答の内容は以下の通りだ。
構造改革の終わりは「収益構造を変えられた時」
―― 構造改革で想定していた1万人から1万2000人に削減人数が増えた要因についてどう考えるか。
楠見氏 人員減が想定以上になった要因はさまざまなものがある。パッケージが魅力的だったことや、家業に専念するケースなどもあった。結果として想定より減った部門もある。ただ、これを契機にAIの利活用を加速するなど、業務改革のきっかけとする動きなどが進んでいる。
―― 人員削減の結果は思い通りだったのか。
楠見氏 パナソニック インダストリーでは拠点統廃合の動きなどがあり、想定より多くの人員削減結果となったが、当初より進んだのは事業の選択と集中を進める中で加速した面はある。退職してほしくない人材が退職したケースもあるが、大きなダメージではない。
―― 構造改革や文化の変革について、変化が起こっている手応えはあるか。
楠見氏 確実に行動が変わっている部門がいくつも生まれている。組織カルチャーの変革は、組織設定の方法論だけでなく、人を生かすコミュニケーションが重要になる。手順を教えて丸投げするのではなく、各自で知恵をしぼってもらうためのコミュニケーションが必要となる。
創業者の時代に立ち返ると「衆知を集めた経営」であり、上意下達だけでなく下意上達の両面からコミュニケーションが当たり前のように行われていた。しかし、ここ数年は上位下達に偏っていた。下意上達も機能するような仕組みにしていかなければならない。
―― 何を達成できれば、構造改革をやり切ったといえるのか
楠見氏 構造改革は、人員削減を指すのではなく収益構造の改革を行うことを指す。AIインフラなど高い収益性が見込める領域の比重を高め、ソリューション事業でサービスやメンテナンスを確立させることで収益の改革ができれば、それが構造改革をやり切った時だといえる。収益性が高まれば再投資の機会が増え、成長投資が潤滑になる。こういうサイクルを回すことが本来の経営であり、そのために意思決定の質とスピードを上げる。
AIインフラ事業の強みと勝ち筋
―― 成長領域と位置付ける「AIインフラを支える事業」について、あらためて勝ち筋をどう捉えているか。
楠見氏 ハイパースケーラーに対しては、データセンターにおける頭脳部であるAIサーバのGPUやASICの進化に応じた提案をしている。例えば、AIサーバの消費電力が上がり高温になる中で、パナソニックグループの持つ導電性高分子コンデンサーは、高温でも容量が下がらないという強みを訴求している。こうした強みを持つデバイスを、レファレンスデザインに採用してもらうということがポイントになる。ロードマップを事前に入手し、要求仕様に応じた材料を開発していくことが重要だ。
一方、心臓としての役割を担うバッテリー周辺では、一時的な急速な電力消費量の上昇を抑えるピークシェービングなどが求められるが、それについても、800V化や大電力化に対応するため、新しいキャパシターなど新技術の開発を進めている。こうした点は、電池セルとコンデンサーの両方を自ら開発している強みが発揮できる。デバイスの開発力が根本的な強みとなっている。
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