ホンダはHEVで四輪事業を再構築、中国勢に対抗する「トリプルハーフ」とは何か:製造マネジメントニュース(4/4 ページ)
ホンダが電動化戦略の見直しを具体化した「2026 ビジネスアップデート」について説明。2040年度に四輪車販売比率をEVとFCVで100%にするという目標を撤回し、2030年度まではHEVを中核に四輪事業を再構築する方針である。中国をはじめとする新興メーカーの開発スピードに対抗するための「トリプルハーフ」の実現などモノづくりも強化する。
開発費/開発期間/開発工数を2025年比で半減する「トリプルハーフ」
2本目の柱となる「ものづくり体質の徹底強化」ついては、「抜本的な原価低減」「徹底的な開発効率化」「環境変化に強い生産体質の構築」を推進する。
「抜本的な原価低減」では、直材のコストについてホンダの独自基準の見直しによる標準品の積極的な活用や、中国やインドの競争力の取り込みによって、グローバルで原価体質を向上させる。中国市場向けの取り組みの中核となる「標準化部品の活用」もその一環となる。
「徹底的な開発効率化」では、エンジニアリングチェーンマネジメントの徹底的な見直しによって、開発費/開発期間/開発工数の3つについて2025年比でそれぞれ半減する「トリプルハーフ」を実現するという野心的な目標を掲げた。デジタル環境やAI(人工知能)の活用により、設計/テスト/生産準備を効率化することに加え、開発要件そのものや企画/開発マネジメントの見直しなど、開発プロセスを抜本的に改革する。その成果として、2026年度からマイナーモデルチェンジの開発期間を半減し、2028年度からはフルモデルチェンジの開発期間を半減するという。
「環境変化に強い生産体質の構築」では、新機種/設備投資の効率的な投入/配分などにより、今後5年間で生産効率の約2割向上を目指すとしている。
3本目の柱である「外部リソースの戦略的活用」では、“自前化”にはこだわらず、中国やインドなどのコスト競争力やスピードを戦略的に活用する他、業界標準品の活用など外部リソースを柔軟かつ戦略的に活用すること競争力の向上を図る。
HEVの重要部品であるバッテリーについては、当面は完全に自前化せず、L-Hバッテリーの設備を最大限活用していく。将来のEV需要拡大への対応も見据えながらも、当面は需要の高いHEVやその他用途を取り込んだ運営効率化を進めるなど、北米での競争力を重視したバッテリー調達戦略をとる。なお、EV用バッテリー向けにカナダで立ち上げた包括的バリューチェーン構築のプロジェクトは、これまで2年程度の延期としていたところを無期限での凍結とし、今後の調達戦略を引き続き検討するとしている。
2050年のカーボンニュートラルは多角的アプローチで実現へ
これら四輪事業の回復に向けた取り組みは、もともとの電動化戦略の最終目標である「2050年のカーボンニュートラル実現」を目指すためのものだ。従来は、EVとFCVを中核としていたが、今後は地域ごとの市場環境や需要動向を見極めながら、EVやHEV、カーボンニュートラル燃料、カーボンオフセット技術などを組み合わせた多角的なアプローチを加速させるとしている。
三部氏が冒頭に述べた通り、電動化戦略の見直しがあってもEV開発は継続し、さらに競争力のあるEVハードウェアプラットフォームの導入や全固体電池の研究開発に取り組む。EV向けを想定していたビークルOS「ASIMO OS」はHEVにも適用し、移動価値の向上を目指す。また、E/Eアーキテクチャについては、国ごとの違いや、顧客のニーズ/市場環境の変化、外部リソースの活用などに柔軟に対応する「ドメイン型」とし、統一のソフトウェアアーキテクチャで高効率な開発の実現を目指す。なお、開発を中止したEV「Honda 0シリーズ」は、車載インフォテインメント、ADAS、コアECUの3つのドメインに集約する「ドメイン集約型」とする計画だった。
2026 ビジネスアップデートが対象とする2026〜2028年度のキャピタルアロケーションは、投入資源を当初のEVからHEVへシフトし、EV投資は3年間で0.8兆円規模にコントロールする。一方、ソフトウェアには1兆円、ICEとHEVには4.4兆円を投入し、これら合計の3年間の資源投入額は合計6.2兆円とする。そのために必要な稼ぎを示すR&D調整後のキャッシュフローは、四輪事業の黒字化と好調な二輪事業の強いキャッシュ創出力によって、EV関連損失を除いて7兆円以上を見込み、投資と株主還元を両立するとしている。
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