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軸受業界再編へNSKとNTNが経営統合に基本合意、両トップが語った危機感とは製造マネジメントニュース

軸受大手のNTNと日本精工(NSK)は、経営統合に向けて基本合意した。両社は共同で記者会見を開き、合意の背景、目指すシナジーなどを説明した。

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 日本精工(NSK)とNTNは2026年5月12日、両社が経営統合に向けて基本合意したことを発表した。両社は同日、東京都内とオンラインで共同記者会見を開き、経営統合の背景などを説明した。NTNと日本精工は共同株式移転により完全親会社となる共同持ち株会社を設立し、NTNと日本精工を共同持ち株会社の完全子会社とすることで経営統合を行う。現時点では関係当局の許認可などの取得を条件に、持ち株会社の設立は2027年10月を予定している。

「次の100年」への危機感、激化する国際競争と中国勢の台頭

 今回の基本合意書の締結の背景には、今後の成長を見据えた時の危機感が背景にある。自動車、産業機械分野ともに成長が鈍化しており、既存市場の急速な拡大は想定できない。業界内の競争激化や中国企業の台頭により、各社はシェアの低下や収益減少のリスクに直面している。

 既に欧米ではスウェーデンのSKF、ドイツのシェフラー、米国のティムケンといった大手に集約されている。それでも、これらの企業は厳しい事業環境に直面している。日本精工とNTNも事業構造改革に注力して一定の成果は得つつあるが、国際競争力の維持などの観点から、国内での業界再編が必須と考えた。

経営統合の目的と背景
経営統合の目的と背景[クリックで拡大]出所:NSK

 日本精工 代表執行役社長 CEOの市井明俊氏は「次の100年をどのように国際競争力を持って戦っていくかについては、常々双方のトップが考えていたことだ。次の100年を考えると、これまでの積み重ねだけではなく、前例にとらわれない、オープンな形でのイノベーションも必要なのではないか。企業価値を継続的に持ち上げていくために、まさに今何をしなければいけないのかに対する1つの答えとして、両社の統合によるシナジーで国際競争力を高めていくという結論で一致した」と話す。

 NTN 代表執行役 執行役社長 CEOの鵜飼英一氏は「3年後、5年後を見た時にはまだ両社とも単一の会社として十分戦っていける力を付けつつある。ただ、今後も世界情勢は刻々と変わっていく。日本発の軸受を世界に冠たるものにするために、互いの力を発揮して国際競争に打ち勝っていくことが必要だ」と語る。

 統合の目的として3点を掲げる。単なる規模の拡大ではなく、危機感に裏打ちされた長期的かつ利益ある成長を実現する。また、日本発の技術、品質、経営を確実に継承し、世界における日本の産業基盤としての地位を確保する。そして持続可能な社会の実現に寄与する。 これらの目的を達成するため、経営資源への投資と最適活用、軸受の販売にとどまらずその後の設備メンテナンスや補修、製品の廃棄に至るまでを視野に入れたPLM(製品ライフサイクルマネジメント)や補修市場向けサービスなどへのポートフォリオの変革、文化の垣根を超えた技術/人材/知見の結集を実施する。

経営統合の目的を達成するための戦略
経営統合の目的を達成するための戦略[クリックで拡大]出所:NSK
シナジー発現に向けた施策と想定シナジー
シナジー発現に向けた施策と想定シナジー[クリックで拡大]出所:NSK

 新興国、特に中国企業の台頭の影響は大きい。「価格破壊が起きている。その中で、いかに技術、サービスで生き残っていくか。われわれが製品としては負けていなくても、ビジネスとして勝てるかが大きな課題となる」(鵜飼氏)、「世界の軸受数量の5分の1から4分の1は、実は中国の企業で生産されている。新しい競争が始まる中で、新しい提案をし続けなければならない」(市井氏)。

 描くシナジーはPLMと補修市場ビジネスの拡大や高付加価値領域の拡大、ロボット事業など新事業の創出、生産/調達の強靭化などとなる。「例えば補修においては、顧客が必要な時にすぐに供給する能力と、常日頃からソリューションを提供できるような関係性、ネットワークを構築する能力がグローバルで求められる。それらを考えた時に一緒にシナジーを出せるような形で取り組むことが重要だと考えた」(鵜飼氏)。

 統合が実現すれば、軸受メーカーとしてSKFやシェフラーと並ぶ企業体が誕生する。今後、両社は統合準備委員会を設置し、集中的に協議を行う。持ち株会社の商号や本社所在地などは協議の上で決定する。

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