検索
ニュース

複雑化/大型化するダイカスト部品の高速外観検査、NTNが新たな事業の柱模索FAニュース

NTNは軸受、CVJに次ぐ「第3の柱」を模索している。2024年度に新たな組織を設立し、部品単体からシステム化への転換を加速。xEV化で需要が増すダイカスト部品の検査自動化に向け、独自技術「i-WRIST」を核としたユニット製品を展開する同社の新戦略に迫る。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 NTNが軸受、CVJアクスル(等速ジョイント)に次ぐ、第3の柱となる新たな事業領域の構築を図っている。既存事業の軸受事業部、CVJアクスル事業本部に加えて、2024年度に未来創造開発本部を立ち上げ、ニーズ探索から商品企画、開発、量産まで一気通貫で商品開発を加速させている。そうした中で、ライフサイエンスや水素、再生可能エネルギー、次世代モビリティと並んで、新事業領域の1つとされているのが、ロボット周辺モジュール事業だ。

部品単体からモジュール化を加速、軸受/CVJ技術を融合

 労働人口の減少を背景に、製造業の自動化や省人化、生産性向上のニーズは高まる一方だ。また、既存製品の競争が激化する中で、より高い付加価値を提供するためには、従来のように部品単体だけでなく、モジュール化やユニット化、システム化が必要になる。

新中期経営計画でも新商品の創出などを重要施策として掲げる
新中期経営計画でも新商品の創出などを重要施策として掲げる[クリックで拡大]出所:NTN

 NTNでは既に、軸受や等速ジョイントの技術を融合させた製品として、手首関節モジュール「i-WRIST」を開発し、2018年から量産を開始した。既に200台以上出荷しているという。2025年度には、i-WRISTのアフターサービスを担当するグループも新設した。

 i-WRISTの名称には、intelligent(知性のある)、innovative(革新的な)、interesting(興味を起こさせる)とWRIST(手首)の意味が込められている。

手首関節モジュール「i-WRIST」
手首関節モジュール「i-WRIST」[クリックで拡大]出所:NTN

 i-WRISTの特徴は、まるで人の手首のような高速かつ滑らかな動きだ。人の作業スピードに匹敵するタクトタイムを実現し、ロボットのように特異点やケーブルねじれの回避動作は必要ない。最大折れ角は90度、旋回角は360度を実現。また、オフラインティーチングが可能で、教示にロボット言語は不要だ。

 i-WRIST自体は手首関節モジュールであるため、i-WRISTに直動/回転アクチュエーターや用途に合わせたエンドエフェクターを組み合わせることで、さまざまな作業の自動化が可能になる。例えば、カメラや照明を付ければ外観検査が、ディスペンサーを搭載すればグリス塗布、ハンドを付ければ組み立て作業が可能になる。その反面、i-WRIST導入に際して、ユーザー側で装置全体を設計、構築する必要があった。

 そこでNTNが開発したのが、主にダイカスト部品を対象とした外観検査システム向け高速ユニットだ。

xEV化で需要増のアルミダイカスト、複雑形状の検査を高速化

外観検査システム向け高速ユニットの小型タイプ
外観検査システム向け高速ユニットの小型タイプ[クリックで拡大]出所:NTN

 溶融した金属を高速、高圧で金型に流し込むことで出来上がるダイカスト部品は、切削や板金よりも複雑な形状の部品を大量に生産できる。近年、EV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)などxEVの普及が進む中、インバーターケースやエンジンブロック、モーターハウジングなどのアルミダイカスト部品の需要が増加している。

 さらに、軽量化に向けて周辺部品の一体化や部品形状の複雑化、大型化が進むことで目視による検査が困難になることが予想される。また、複雑形状のダイカスト部品は検査箇所が多岐にわたり、複数方向からの検査が必要となる。「垂直多関節ロボットを使った検査では目標のタクトタイムに届かず、自動化を諦めたメーカーもあった。そこにi-WRISTの高速性がマッチした」(NTN 未来創造開発本部 ロボット周辺モジュール技術部 部長の磯部浩氏)。

 既に2026年1月に、対象ワークサイズが径150×高さ150mm、設置面積約0.52m2の小型タイプを発売した。そして、同年3月に対象ワークサイズが径600×高さ150mm、設置面積約2m2の大型タイプを新たに投入した。大型タイプはワークも大型になるため、ワークを搬送する産業用ロボットなどと組み合わせた利用を想定している。既に、大手ダイカストメーカーのリョービや自動車メーカーなどで導入されている。

外観検査システム向け高速ユニットの大型タイプ
外観検査システム向け高速ユニットの大型タイプ[クリックで拡大]出所:NTN

 動作に必要な周辺部品(直動アクチュエーターや回転アクチュエーターなど)を一体化し、省スペースかつ幅方向にスリムな装置設計となっている。複数箇所を高速に検査できるよう、ワークやカメラの位置を高速に制御する装置構成を採用しており、最速0.2秒/ポイントで目視による検査と同等の検査時間を実現する。

 新商品の投入と同時に、画像処理システムメーカーやロボットSIer(システムインテグレーター)とも連携してソリューション提案に力を入れている。「これまでは画像処理や装置の構築に関してはユーザーに依存している部分があった。そこで、画像処理システムメーカーらとともにユーザーの困りごとを解決する取り組みを始めた」(磯部氏)。この取り組みによって引き合いも増えているという。

 ロボット周辺モジュール事業として2030年度に40億円の売上高を目指す。そのうちの半分程度を、ダイカスト部品向けが担う見通しだという。「アルミダイカストマシンだけでも世界で4万台近く稼働していると見られており、自動化のニーズは確実に増えていくと想定している」(磯部氏)。

⇒その他の「FAニュース」の記事はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る