トヨタは中東情勢影響で6700億円の減益見通し、稼ぐ力の強化やロボティクスで対抗:製造マネジメントニュース(3/3 ページ)
トヨタ自動車が、2025年度連結業績と2026年度の連結業績見通し、重点取り組みなどについて説明。2025年度は米国関税、2026年度は中東情勢の影響が大きく、3年連続の減益となる見通し。今後は、これらの事業環境の大きな変化に対応できるような中長期目線での事業構造変革を推進する方針である。
近氏「多くの仲間が失敗を恐れず、挑戦できるよう背中を押すのが私の役割」
2026年4月1日付でトヨタ自動車の執行役員 社長 CEOに就任した近健太氏は、社長として初の会見に臨んだ。近氏は「社長に就任して以来、開発、認証、工場、仕入先、販売店など現場を回っており、トヨタの現場力は改めてすごいと感じている。それでも課題は山積みだ。例えば、管理/間接の職場はまだまだ強くなる余地が大きい。自分たちの技能は何か、をもっと突き詰めることで、現場を『管理』するのではなく、自ら現場に入り、オペレーションを支える。帳簿上で数字を『管理』するのではなく、現場で実際に原価を下げていく。管理する仕事から、価値を生み出す仕事へ。トヨタの仕事の原点、TPSに立ち返る必要があると感じている」と語る。
近氏は、豊田章男氏と佐藤恒治氏が社長を務めた17年間について、「もっといいクルマをつくろうよ」を合言葉に「商品」と「地域」を軸にした経営に取り組み、グローバルフルラインアップの自動車メーカーとしての基盤を確立した期間だったと位置付ける。その上で「もっといいクルマをつくる人を増やす。それがトヨタの持続的成長のエンジンであり、私の使命だと思っている」(同氏)とした。
また近氏は、評価ドライバーから運転指導を受けた際に豊田氏からかけられた「ブレーキは速く走るためにある。いいブレーキがないと、アクセルは踏めない」という言葉を紹介。そして、経営において、アクセルは成長のための投資を緩めずやり切ることだとし、グローバルフルラインアップ、マルチパスウェイ、水素社会、AI(人工知能)やロボティクス、Woven Cityなどの取り組みを挙げた。
近氏は「新しい技術、新しいプレーヤーが数多く登場している今は、何が正解か分からない時代だ。だからこそ、多くの仲間が失敗を恐れず、挑戦できるよう背中を押すのが私の役割だ」と強調する。同氏はCFOとして、事業構造改革の取り組みで挙げた「稼ぐ力の引き上げ」で一定の成果を出しており、CEOとしても引き続き取り組む方針だ。近氏はアクセルとの対比となる“いいブレーキ”が何かについて言及しなかったものの、「稼ぐ力の引き上げ」をさらに進めることでその役割を果たしていく考えとみられる。
「多くの仲間が、挑戦できる場を大切にし、会社も人も、成長し続けるトヨタを目指して、みんなで心を合わせて努力していく」(近氏)
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