「日本にもうひとつ太陽をつくる」計画の第1弾公式パートナーが決定:材料技術(2/2 ページ)
「日本にもうひとつ太陽をつくろう」をスローガンに掲げるHelical Fusionが、2030年代にヘリカル型の核融合発電炉による実用発電の達成を目指す「Helix(ヘリックス)計画」の「公式パートナー」制度を発足した。公式パートナーの第1弾として、ニチアスや長谷虎紡績、瀬野汽船といった3社の参画が決定したことも明かされた。
「断つ/保つ」技術でヘリックス計画に貢献
記者会見の後半では、ヘリックス計画に公式パートナーとして参画したニチアスや長谷虎紡績が紹介された。
1896年創業のニチアスは、「断つ/保つ(流体の漏れを断つ、熱を保つ/断つなど)」の技術を中核とし、プラント向け工事/販売事業、工業製品事業、高機能製品事業、自動車部品事業、建材事業など幅広い分野で事業を展開している。
エネルギー分野においては、石炭/石油化学プラントの超高温領域や液化天然ガス(LNG)火力発電所の極低温領域(−162℃)、原子力発電所においては、気体の漏れや熱の移動を防ぐ技術で日本のインフラを側面から支えてきた。
同社の強みは、単に図面通りのものを作るのではなく、構想段階から顧客と仕様環境を整理し、評価、解析、試作、量産、施工までを一貫して対応できる開発力にあるという。
同社は次世代エネルギーへの取り組みとして、液化水素向け製品の開発に着手している他、静岡県浜松市の浜松研究所内に独自の液体水素実験棟を新設した。極低温かつ高い信頼性が求められる領域での製品開発を進めている。液化水素向け製品の評価から設計までを一貫して同社が実施している。
ニチアス 代表取締役社長の亀津克己氏は「核融合炉は、内部に真空状態や高温環境が存在する一方で、部分的には極低温となるなど、特殊な極限環境が同時に存在する装置だ。当社の断熱、シール、材料技術は、このような極限環境でこそ価値を発揮するものだと信じている。試行錯誤を重ねながら、挑戦を支える側としてヘリックス計画の実現に貢献していく」と語った。
「地方の中小企業が生き残る道筋を作りたい」
一方、日本の繊維産業は厳しい状況にあるという。岐阜県の繊維問屋街の一部は現在シャッター街となっている他、日本国内の洋服の輸入浸透率は2026年時点で98.5%を超えている。国内における紡績機(精紡機)の能力「錘(すい)」は、1960年ごろから現在までに99%が失われた。これは技術力がなかったからではなく、価格競争に敗れた結果だという。長谷虎紡績 代表取締役社長の長谷享治氏は「このままでは日本の産業そのものが同じ未来をたどるかもしれない」と強い危機感を抱いている。
同社は、スポーツ分野で使用する高機能アンダーウェア向けの繊維製品やアウトドア分野で利用する高機能アウターウェア向けの繊維製品を展開していることに加えて、宇宙ロケット用の難燃性繊維などの開発も行っている。
長谷氏は「H3ロケットや小型人工衛星打ち上げ用固体燃料ロケット『イプシロン』の噴射口には、3000〜4000℃の高温に耐える当社の特殊な繊維が使われている。このように、当社の繊維製品は衣類だけでなく、コンクリートや金属などさまざまなインフラの補強材としても広く応用されている」と紹介した。
さらに、「当社は、単に物を作って終わるのではなく、長年の経験とノウハウの蓄積を生かした『知識製造業」への転換を目指している。中小企業/中堅企業だからこそ、大手から優れた素材を調達し、独自の技術で加工できる。繊維産業を代表していち早くヘリックス計画に参画することで、繊維産業そのものの構造を変え、全国の技術力がある地方の中小企業が生き残る道筋を作りたい」とコメントした。
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