ヘリカル型核融合炉最終実証装置のコイル製作マシンが完成:材料技術(1/2 ページ)
Helical Fusionは、スギノマシンとの技術的な連携と開発により、ヘリカル型核融合炉最終実証装置「Helix HARUKA」の最重要コンポーネントの1つである「高温超伝導コイル」に必要なコイル製作マシンを完成させた。
Helical Fusionは2026年2月5日、スギノマシンの早月事業所(富山県滑川市)とオンラインで記者会見を開き、スギノマシンとの技術的な連携と開発により、ヘリカル型核融合炉最終実証装置「Helix HARUKA」の最重要コンポーネントの1つである「高温超伝導コイル」を製作するために必要なコイル製作マシンを完成させたと発表した。
ヘリカル型核融合炉は、ヘリカルコイル(高温超伝導コイル)、プラズマ、ポロイダルコイルなどから成り、1億℃の水素ガス(プラズマ)を閉じ込めるために複数のらせん状のヘリカルコイルを使うタイプを指す。トカマク型と比べてプラズマ性能は劣るものの、プラズマ保持時間が長く恒久的な稼働に適している。ヘリカルコイル自身をらせん状にすることで、電流が作る磁場を重畳(ちょうじょう)させて磁場を捻(ひね)る。このように、磁場の籠でプラズマを閉じ込める方法を「磁場閉じ込め方式」と呼ぶ。
Helical Fusionの高温超伝導コイルは、液体窒素の沸点よりも高い温度で超伝導状態を示す高温超伝導マグネットを複数用いて絶縁体を使用せずに製作した強力な電磁石であり、超伝導状態で通電すると先述の磁場閉じ込め方式に必要な磁場を発生させることができる。
組み立てには約1年
スギノマシンは、産業機械、工作機械、工具、極細繊維素材、産業用ロボット、これらのサービスなどの開発/設計、製造/販売を展開する企業だ。
同社 代表取締役社長の杉野岳氏は「当社は『グローバルニッチリーダー』を経営方針に掲げている。ニッチな市場でトップを取るという考え方だ。この考え方に基づく事業展開を支えるのが『6つの超技術』だ。6つの超技術は、さまざま装置や工具、機械を用いた『切る』『洗う』『砕く』『削る』『磨く』『解(ほぐ)す』技術で構成される。これらの技術を活用し、高温超伝導コイルを製作するために必要なコイル製作マシンを完成させた」と説明した。
コイル製作マシンの高さは約6mで、直径は約4mだ。杉野氏は「受注したのは2023年12月で、当社はコイル製作マシンの設計/製作を担った。組み立てには約1年かかった。このマシンは、Helical Fusion独自の『曲げやすい高温超伝導導体』をスピーディーかつスムーズにらせん状に巻いて、高温超伝導コイルにするために最適な形状を採用している」と語った。
なお、同社はエネルギー市場において、エネルギー効率の維持に必要な熱交換器やボイラーなどの製造、メンテナンス用の工具と装置の製作を担ってきた。このようにエネルギー市場に携わる中で、原子力発電所などの保守/メンテナンスで使用する装置や機器、技術の作製に関する要望を受け、これらを開発し、ユーザーに提供してきた。さらに、これまで培ってきたノウハウを生かし、核融合関連施設向けの装置やツールの開発も進めている。
Helical Fusion 代表取締役 CEOの田口昂哉氏は「スギノマシンにコイル製作マシンの製作を発注した要因には、原子力発電所での実績と信頼感がある。加えて、見通しの立てにくい新しい産業に対し、リスクを取って『自分たちがやらなければならない』という覚悟を持ってくれた点にある」と述べた。
今回のマシンはHelix HARUKAの建設現場に運んで使用するという。「将来は、より大型の商用炉向けにさらに進化したコイル製作マシンが必要になると想定している」(田口氏)。
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