核融合発電の最終実証装置、第1段階の実証を行う建設地が決定:材料技術
Helical Fusionは、最終実証装置「Helix HARUKA」に関して、2段階中の1段階目に当たるマグネット実証フェーズを実施する建設地を決定した。
Helical Fusionは2026年3月13日、最終実証装置「Helix HARUKA」に関して、2段階中の1段階目に当たるマグネット実証フェーズ(以下、フェーズ1)を実施する建設地を、自然科学研究機構 核融合科学研究所(以下、NIFS)の敷地内にある、両者の共同研究グループ専用スペースにすると発表した。2027年の通電試験に向けて、既に日本各地のものづくり企業と連携し、製造/建設に着手している。
ヘリカル型核融合炉は、ヘリカルコイル(高温超伝導コイル)、プラズマ、ポロイダルコイルなどから成り、1億℃の水素ガス(プラズマ)を閉じ込めるために複数のらせん状のヘリカルコイルを使うタイプを指す。トカマク型と比べてプラズマ性能は劣るものの、プラズマ保持時間が長く恒久的な稼働に適している。ヘリカルコイル自身をらせん状にすることで、電流が作る磁場を重畳(ちょうじょう)させて磁場を捻(ひね)る。このように、磁場の籠でプラズマを閉じ込める方法を「磁場閉じ込め方式」と呼ぶ。
フェーズ2では主要要素技術の統合実証を実施
フェーズ1では、3次元らせん構造の高温超伝導(HTS)コイルを組み立て、マグネットとしての性能などを実証する通電試験を行う。マグネットは、磁場閉じ込め式核融合炉において、自動車におけるエンジンのように装置全体の性能、信頼性、コストを決定づける基幹部品だ。
国内外で核融合発電の開発競争が激化する中、Helical FusionはNIFSとの共同研究基盤と、ものづくりにおけるパートナーとの実装力を組み合わせ、設計、製作、組立、試験、改善までの一連のサイクルを高速化して優位性を築くという。
Helical Fusionは、フュージョン(核融合)エネルギー実用化に向けた「ヘリックス計画(Helix Program)」の下、日本独自のヘリカル型核融合炉の開発を進めている。
なお、次の段階となる統合実証フェーズ(以下、フェーズ2)では、高温超伝導(HTS)マグネット、ブランケット兼ダイバータを含む主要要素技術の統合実証による、発電初号機「Helix KANATA」への技術的見通しの確保を行う。将来の発電所に必要な定常運転の確立に向けた、高温プラズマの長時間維持などをチェックする。
その次の段階では、発電初号機「Helix KANATA」において実用発電を達成する。正味発電を伴う定常運転で、保守を含む実証を行う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
核融合発電の技術開発で日本がリード、最終実証装置の建設に着手
Helical Fusionはヘリカル型核融合炉の重要部品「高温超伝導マグネット」の個別実証を完了した。この成果を踏まえて、最終実証装置「Helix HARUKA」の製作/建設に着手する。
ヘリカル型核融合炉実現に向け20kmの高温超電導テープ線材を追加調達
Helical Fusionは、東京都内とオンラインで記者会見を開き、フジクラから高温超電導テープ線材を追加調達すると発表した。
ヘリカル型核融合炉最終実証装置のコイル製作マシンが完成
Helical Fusionは、スギノマシンとの技術的な連携と開発により、ヘリカル型核融合炉最終実証装置「Helix HARUKA」の最重要コンポーネントの1つである「高温超伝導コイル」に必要なコイル製作マシンを完成させた。
核融合発電とは? 優位性や安全性などの基礎を解説
自然科学研究機構 核融合科学研究所 教授の高畑一也氏が、核融合発電の基礎知識について解説する本連載。第1回では、地上で実現する核融合反応とはどのようなものか、核融合発電の優位性と安全性、実現に必要な物理的条件、どうして核融合発電が必要なのかについて紹介します。
経済的な核融合発電はどうすれば実現できるか?
自然科学研究機構・核融合科学研究所 教授の高畑一也氏が、核融合発電の応用知識について解説する本連載。第1回では、経済的な核融合発電を実現するための技術課題について解説します。

