取適法の施行から3カ月が経過 企業はどのようなことに課題を感じているのか:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
Sansanはメディア向けの勉強会を開催し、2026年1月に施行された中小受託取引適正化法(取適法)における企業対応の実態について説明した。
Sansanは取適法施行後の実態調査を実施 その結果とは
Sansanでは取適法施行後の実態調査を実施し、その内容を公開した。同調査は2026年3月に全国の会社員を対象に、「取適法施行後の実態調査」と題してオンラインアンケート形式で実施した。今回の調査では受注する側の中小受託事業者743人と、発注する側の委託事業者143人に対してアンケートを実施し、受注者側と発注者側の視点から取適法への対応状況や課題を確認した。
受注する側である中小受託事業者に向けて、「取適法施行後、価格協議の機会が増えましたか」という質問を実施。この質問に対して、価格協議が増加したと回答した企業は約40%であった。一方、変わらないと回答した企業は約60%弱という結果になった。なお、製造業従事者(312人)に絞ると、受注者の約49%は価格協議の機会が増加したと回答した。
Sansan Contract One Unit プロダクトグループ プロダクトマネジャーの大泊杏奈氏は「取適法の施行から3カ月の時点で、すでに価格協議が増加している企業も見られ一定の成果は出ているといえる。一方、まだ過半数の企業では価格協議の増加には至っていない状況である。今回の法改正を価格協議のきっかけにつなげられている企業とそうでない企業で対応に差が出ている」と語る。
「価格協議を増やすために重要だと思うことは何ですか」という質問に対しては、「契約書や発注書などで取引条件を確認できるようにする」という回答が約65%で最多となった。価格協議が増加していない層と比較すると10ポイント以上の差が見られている。取適法では取引条件の明示が定められているが、実際に価格協議が増加している層では条件を明示するだけではなく、すぐに確認できる環境を整えることまで意識していることが分かる。
「これまでに、契約書や発注書などの取引条件を明示した文書が手元にないために、価格交渉をためらった経験はありますか」という質問については、約70%が「ある」と回答。製造業従事者に絞ると約80%に及んでいる。この結果から、価格交渉をしたいと思っても根拠となる書面がすぐに確認できないため、交渉に踏み出せないケースが存在していることが伺える。
発注者側に対する取適法への対応状況についての質問では、約87%が対応を行っていると回答。取適法施行をきっかけにして、従来の業務の見直しが進んでいるといえる。一方で、「受託事業者の特定に対応できているか」という質問に対しては、法改正後にもかかわらず約60%が課題があると回答し、問題なく対応できているという回答は約41%にとどまった。このような結果から、対象となる取引先を正しく把握するためのプロセス構築がまだ十分に進んでいない状況であると判明した。

質問事項「あなたがお勤めの会社では、取適法の対応を行っていますか」に対する回答結果(左)と、質問事項「あなたがお勤めの会社では、『受託事業者の特定』に対応できていますか」に対する回答結果(右)[クリックして拡大] 出所:Sansanまた、「受託事業者の特定に課題が残る」という回答のうち、その理由として最も多かったのは「企業情報を個別に確認・収集する必要がある」で約33%を占めた。大泊氏は「発注者側については対象事業者の特定に課題が残っており、情報収集の負担が現場の課題となっている。法改正による業務負担を最小限にしつつ取引をアップデートしていくためには、取引条件の可視化と情報収集の負担軽減が重要なポイントになる」と述べている。
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