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米国依存が強まる日本の直接投資、日米独比較で見える構造的リスク小川製作所のスキマ時間にながめる経済データ(45)(1/2 ページ)

ビジネスを進める上で、日本経済の立ち位置を知ることはとても大切です。本連載では「スキマ時間に読める経済データ」をテーマに、役立つ情報を皆さんと共有していきます。今回は「日米独の相手国別直接投資残高」について見ていきます。

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 前回は、海外との関係で非常に重要な「直接投資」について紹介しました。日本は対外直接投資は非常に大きいものの、対内直接投資は少なく、「外」に非常に偏った状況であることがよく分かりましたね。

 さて、今回は具体的に日本、米国とドイツにおける「相手国別の直接投資残高」について見ていきます。具体的な関係性を比べることで日本の立ち位置がより明確に見えるようになります。

⇒連載「小川製作所のスキマ時間にながめる経済データ」のバックナンバーはこちら

国ごとの経済活動の結び付きを示す「直接投資」

 振り返りになりますが「直接投資」は、海外での生産活動を行う対外投資です。基本的には、海外現地法人(現地子会社)を設立し、現地での生産活動(対外活動)で得た利益の一部を配当金などの形で、自国本社に還流させる活動として理解できます。

 貿易に輸出と輸入があるように、海外活動にも対外活動(対外直接投資)と対内活動(対内直接投資)の2つの方向性があります。

 対外活動は、海外での生産活動です。そこで生み出された付加価値(GDP)や分配された人件費(雇用者報酬)、税収は現地国で発生します。生産活動の結果である純利益の一部が配当金などの対外直接投資収益という形で日本の本国本社に還流するという活動として捉えられます。

 対内活動は、対外活動の逆です。日本からすると、外資系企業が国内で生産活動を行い、主に日本人が雇用されます。その結果生み出された付加価値は日本のGDPとなり、日本の労働者に人件費として分配されます。

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図1:対外直接投資の関係性[クリックで拡大] 出所:筆者が作成

 この関係性を頭に入れた上で、各国の相手国別直接投資残高を見ていきましょう。OECDのデータベースでは、各国の相手国別の直接投資残高についても集計されています。相手国への直接投資残高が大きいほど、その国に積極的に投資しており、現地での生産活動が活発であることを示します。直接投資残高を見ることで、どの国との経済的結び付きが強いのかが見えてくるはずです。

米国の相手国別直接投資残高

 まずは米国の対外直接投資残高、対内直接投資残高を相手国別にマッピングしたグラフをご紹介します。図2が米国の相手国の対内直接投資残高(横軸)、対外直接投資残高(縦軸)をまとめたものです。

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図2:米国の相手国別直接投資残高(2023年)[クリックで拡大] 出所:OECD Data Explorerを基に筆者が作成

 緑の斜め線が、対内直接投資と対外直接投資の比率が1:1となる線です。この線より上に位置すれば米国にとって対内直接投資よりも対外直接投資が超過する国ということになります。つまり、その国からの投資よりも、その国への投資の方が超過しているという関係性の国です。逆にこの線より下に位置すれば、米国から見てその国からの投資が超過している関係性となります。

 米国は特に英国、オランダとの結び付きが強いことが分かります。両国とも対外直接投資、対内直接投資が非常に高い水準に達していますが、対外直接投資の方がやや上回っているようです。この2国に対しては、米国からの投資の方が超過しています。

 ルクセンブルクやアイルランドに対しても同様です。アイルランドは近年急激に経済水準の上昇している国ですが、米国との関係性が寄与していることを窺わせます。また、カナダも結び付きの強い国で、対内直接投資の方が上回っていて、カナダから米国への投資の方が超過している関係性です。

 そして、日本は対内直接投資では6900億ドルで、オランダに次ぐ2番目の水準となっています。つまり、世界で2番目に米国に投資している国となります。一方で、米国から日本への投資は630億ドルでそれほど多くありません。米国からの投資先としてはあまり存在感がないといえます。

 このように相手国別の直接投資残高をマッピングしてみると、どの国との結び付きが強いのかがよく分かります。

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