EVバッテリーの熱暴走を防ぐエアロゲルシート、最大1300℃に耐える:材料技術
三洋貿易は、「BATTERY JAPAN【春】〜第20回[国際]二次電池展〜」に出展し、オランダの合成ゴムメーカーであるARLANXEO製の水素ニトリルゴム「Therban」や韓国の材料メーカーであるPAP製の板状アルミナ、フランスのエアロゲルメーカーであるENERSENS製のエアロゲル断熱シート「SKOGAR」を紹介した。
三洋貿易は、「SMART ENERGY WEEK【春】2026」(2026年3月17〜19日、東京ビッグサイト)の「BATTERY JAPAN【春】〜第20回[国際]二次電池展〜」に出展し、オランダの合成ゴムメーカーであるARLANXEO製の水素ニトリルゴム「Therban」や韓国の材料メーカーであるPAP製の板状アルミナ、フランスのエアロゲルメーカーであるENERSENS製のエアロゲル断熱シート「SKOGAR」を披露した。
少ない添加量で効率よく分散
Therbanは、リチウムイオン電池の正極材で利用されているカーボンナノチューブ(CNT)などの導電助剤の分散剤として使えるもので、少ない添加量で効率よく分散できる。同製品は、スラリーの低粘度を実現し、乾燥時間を短縮して、生産プロセスの高速化が可能だ。また、時間経過による粘度変化も抑制している他、常に一定の塗工クオリティーを維持し、製造ロスも減らせる。水素ニトリルゴム特有の柔軟性により、厚塗り時やプレス工程での「電極の割れ」を防げる。
三洋貿易の担当者は「従来の樹脂製分散剤と異なり、ゴム特有の柔軟性を付与できるため、厚塗りやプレス工程で電極の割れが発生しにくい」と説明した。
PAP製の板状アルミナは、独自の結晶成長技術により、薄く平滑なプレート形状を実現したセラミック粉末だ。滑らかな表面が、樹脂や塗料への高い分散性と充填(じゅうてん)性に貢献している。同製品は、酸化アルミニウムが99%以上を占めており、不純物が少ない。
用途としては、リチウムイオン電池のセパレーター向けコーティング材などを想定している。三洋貿易の担当者は「従来の球状アルミナの代替品としての活用をイメージしている。球状のアルミナと比較して粒子同士の接点が多くなるため、放熱性が高まる」と話す。
SKOGARはリチウムイオンバッテリーなどの熱暴走対策に適した断熱シートだ。三洋貿易の担当者は「バッテリーセル間に挟み込んで利用する」という。同シートの熱伝導率は0.012W/m・kで、厚さは0.5mm〜、耐火性は最大1300℃までとなっている。「薄くて軽く、柔らかいため、狭い隙間や複雑な形状のセルにも対応する」(三洋貿易の担当者)。
SKOGARの種類は標準グレードで硬めの「SKOGAR ST」と耐火グレードで柔らかめの「SKOGAR HT」の2種をラインアップしている。
SKOGAR STはガラス繊維を用いたもので、厚みは0.5mm、1mm、2mm、2.5mm、3.5mmに対応し、米国の安全科学機関であるUL Solutionsのプラスチック材料難燃性規格「UL-94」で高い難燃性を示す「V-0」グレードを取得している。
SKOGAR HTはポリアクリロニトリル(PAN)繊維を活用したもので、厚みは2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、6mmに対応する。UL-94でV-0グレードを取得していることに加えて、航空機の客室/貨物室の内装材料に対する燃焼性試験「FAR 25.853」をクリアしている。
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