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金属3Dプリンタの実用化が加速 DMG森精機とマザックが語るDED方式活用例FAイベントレポート(2/3 ページ)

金属3Dプリンタの実用化が製造現場で進んでいる。「名古屋レーザフォーラム2026」において、DMG森精機とヤマザキマザックが登壇し、DED方式のAM複合加工機の活用例などについて語った。

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データで見るAMの品質保証、DMG森精機の分析結果とは

 品質保証の観点から、DMG森精機では品質保証部門に計測分析センターを設け、積層造形品の材料分析および保証を行っている。廣野氏は同センターでの分析例を紹介した。

 DED方式において空孔率を限りなくゼロに近づける取り組みでは、空孔率が0.0008%となった例を紹介した。「NASAやJAXAでは100μm以下が好ましく、自動車は300μmともいわれる」(DMG森精機の廣野陽子氏)が、紹介した事例では空孔のサイズは最大で33μmであった。

 密着性の評価でも高い品質を示している。ステンレス鋼とインコネル(耐熱合金)の異種金属間で剥離するかを引張試験で検証したところ、界面部分は問題なく、ステンレス鋼の箇所で破断した(図1)。X線CTスキャンでも内部に空孔がないことを確認できた。

AMの密着性の評価
AMの密着性の評価[クリックで拡大]出所:DMG森精機

 さらに品質保証のため実施しようとしているのが、断面観察による結晶粒径測定(EBSD)である。硬さは平均結晶粒径の−2分の1乗と相関があるためだ。その結果によると、母材のS45C(中炭素鋼)の結晶粒径は約4.6μm、ハイス鋼の部分は表面も内部も約1μmで大きな差がないことを確認できた。材料の専門家によると、TEM画像からも積層材料と母材の結晶構造が非常に入り組んでいる様子が観察され、高い密着性を示唆していると評価されたという。

 またクロムめっきの代替材料について、耐久試験を行い、クロムめっきが3μm摩耗したのに対して代替材料は2μmであることを確認した。これにより社内の工作機械の主軸に積層造形品が採用された。またシャフトの相手方が壊れないかについても試験を行い問題がないことを確認した。

工程集約で脱炭素、マザックは自社製NC旋盤の部品で実証

 ヤマザキマザック オプトニクス開発部の浅野孝平氏は、「レーザ式AMを応用したコーティング技術とハイブリッド複合加工事例」のタイトルで講演を行った。

ヤマザキマザックの浅野孝平氏
ヤマザキマザックの浅野孝平氏

 ヤマザキマザックは、2030年に2010年比で、ユーザーが使用する段階も含めたカーボンフットプリントを50%削減するという目標を掲げている。そのための4つのアプローチの1つに、「工程集約によるCO2の削減」がある。

 同社は以前から複合加工機による生産性の向上に力を入れてきた。特に工作機械と相性が良いとされる、レーザーやワイヤアークを用いたDED方式のAM、研削、ギアシェイピング、摩擦攪拌接合といった技術を集約することで、カーボンフットプリント削減を達成しようとしている。

 DED方式のAMを用いるメリットとしては、局所加熱により狙った場所にだけ必要なものを作れることが挙げられる。また、比較的低入熱であり、材料の選択の自由度が高く、溶融接合のため緻密で剥離しない肉盛りを形成するといった点もメリットになる。

 浅野氏が紹介した事例の一つが、自社製NC旋盤の刃物台のカップリング(軸継手)である。

 カップリングは歯部が別の部品と接触するため、摩耗が起きる。そのためHRC60程度の硬度が必要だ。従来は切削、焼き入れ、研削仕上げ加工など全11工程、9台の機械を使用していた。新たなハイブリッド加工では、切削、AM、研削を1工程、1台の機械で完了し、焼き入れも不要になる。リードタイムは14日から1日に短縮でき、全工程における合計CO2排出量を5.6t(トン)から3.0tにまで削減できた。

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