デクセリアルズがMIの導入に成功したワケ、伴走に必要な考え方:ITmedia Virtual EXPO 2026 冬 講演レポート(2/2 ページ)
「ITmedia Virtual EXPO 2026 冬」において、デクセリアルズ オプティカルソリューション事業部商品開発部OS開発課(統括係長)の高田善郎氏が行った講演「MIの船出を後押しするデクセリアルズの伴走手法 〜過去、現在、未来〜」の一部を紹介する。
MIツールの普及活動とは?
MI推進チームの設立当時のメンバーは4人で、全員が元製品開発者であった。高田氏は情報系やデータサイエンス系の資格を所持していたが、その他のメンバーを含めてMIの経験者、プログラミング実務経験者はいなかった。チーム結成後、最初に行ったのが、チームメンバーへの伴走であり、まず共通言語化および相互理解から始めた。MIに対する知識、認識のギャップを埋め、併せてメンバー一人一人の価値観、感性の違いを理解するなど土台作りに取り組んだ。
MI推進のスタート1年目には、MIツールの概念実証(PoC)スタートから正式導入に至るまでの活動を行った。共通目標/マイルストーンも設定した。MIの活用を推進する取り組みとして、製品開発チームに所属するPoC協力者がMIを使いやすいようにアシストした。具体的には、共通目標/マイルストーンの設定においては、製品開発チームと合同での目標策定に当たり、課題分析のフレームワークを用いて実験室が今後MIを使いどう変わっていきたいかを検討した。
このとき重視したのが「目標はかならず実験室の目線で言語化をしていく」(高田氏)というものだった。この共通目標はMI推進チームから継続的に組織に発信することでMIを使って何を成し遂げるかの認知を広げることに役立った。続いてマイルストーンを達成するためにMIを実行する環境を整えるためのMIツールの調査とPoCを始めた。
ツールの選定に当たっては、共通目標/マイルストーンのフェーズ1を達成するために必要なコア機能を特定した。PoC協力者へのMI伴走支援では、最初にMI推進チームから製品開発チームのメンバーに声掛けしてPoCに誘うこととした。この時は複数のテーマを並行して進めるためにさまざまな分野の人に声掛けして、なるべく複数の事例を作っていくことを強く意識したという。
その中で目標を達成したテーマも未達のテーマもあったが、未達であってもその中から得た知見とデータを次に生かしていくことにも意識して取り組んだ。その結果、目標達成、未達の両方を含めた形でMIの成果としてレポーティングを行ったことが認められ、MIの正式導入に至った。次にいかにツールを活用してもらい研究開発に役立てていくかという段階に進み、2年目のMIツールの普及活動につなげていった。
2年目の組織的な活動として、MI勉強会の開催、システム面ではMIツールの全社横展開を行った。伴走支援では製品開発チームに所属するユーザーに対して、MIツールの活用をサポートした。勉強会では特に実践に必要な知識の習得を最優先とし、MIツールの操作手順、ノウハウの共有、データサイエンスの知識習得という流れで実施した。
2年目には、開発期間短縮の効果も見え始めてきた中、一方で顧客案件へのMIの適用事例が増えないという課題が表面化した。この原因として、顧客がついている案件にいきなりMIを適用するという心理的なハードルや、従来の研究開発とMIの両方を進めることに対して追加の工数が必要になる工数的なハードルの2つがあり、顧客案件に適用しづらいのではないかという仮説を立てた。
そして、この課題をどうクリアしていくかが、2025年(3年目)のMI推進の活動となっている。
活動内容としては、心理的なハードルをクリアするためのMIの活用件数目標の設定と、工数的なハードルのクリアを目指したDX(デジタルトランスフォーメーション)施策の推進に取り組んでいる。組織的活動としてMIを実践した他、手段として使えるようにするためにMIの実施件数を目標化した。
システム面では測定データの自動解析システムの構築を行い、伴走支援としては各製品開発チームへのMIの伴走支援を実施している。これらの活動により製品開発チームとMI推進チームが共同でMI件数の目標達成に向けて取り組んだ結果、顧客案件へのMI活用が増加しているという。
今後、MIの推進では実験データ管理の課題解決に向けて挑戦する方針だ。高田氏は「誰でも当たり前にMIを活用できる環境づくりを行うことが、最終的に人間が本当にやるべきことに集中できる未来を実現していくことにつながる」としている。
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