スズキがカナデビアの全固体電池「AS-LiB」事業を買収、宇宙機向けで実績:電動化
スズキは、カナデビアの全固体電池「AS-LiB」の事業を2026年7月1日付で買収すると発表した。買収金額は非公開。
スズキは2026年3月4日、カナデビアの全固体電池「AS-LiB」の事業を同年7月1日付で買収すると発表した。買収金額は非公開だが、カナデビアは2027年3月期第2四半期の決算において、事業譲渡益約74億円を特別利益として計上するとしている。
カナデビアが2006年から開発に取り組んできたAS-LiBは、独自に開発した乾式製法により、液漏れのない高い安全性、優れた耐環境性、広い温度域での動作などを特徴とする全固体電池である。特に、宇宙や高温/真空状態といった特殊環境向け用途に強みを有している。
2022年3月には、JAXA(宇宙航空研究開発機構)との共同実証研究により、ISS(国際宇宙ステーション)を構成する「きぼう」日本実験棟の船外で、AS-LiBの140mAhタイプを基にした全固体電池軌道上実証装置を設置し、世界で初めて宇宙暴露空間での充放電動作の確認に成功した。2024年には、JAXAから「宇宙飛行証明書(Certificate of Space Flight)」を受領している。
また、2023年には半導体製造装置向で商業ベースの受注を獲得し、1000mAhタイプの開発と並行して、全固体電池事業の本格展開を進めていた。
その一方で、近年は全固体電池分野における開発競争が一段と激化しており、AS-LiBのさらなる性能向上、量産体制の構築、販売強化を迅速に進める必要が高まっている。カナデビアは多様なパートナーシップの可能性を検討してきたが、EV(電気自動車)を代表とする電動モビリティやリチウムイオン電池を開発しているスズキに事業を引き継ぐことが、AS-LiBの技術をよりいっそう発展させ、産業界の成長に寄与すると判断し、今回の事業譲渡を決定したという。
スズキは「カナデビアが培ってきた全固体電池技術を継承/発展させていく」とコメントしている。
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