パナソニックの弱いロボット「NICOBO」がLLMでさらなる進化、累計販売は1万体に:ロボット開発ニュース(2/2 ページ)
パナソニック エンターテインメント&コミュニケーションは、東京都内で会見を開き、“弱いロボット”「NICOBO(ニコボ)」が累計販売1万体を突破したことを報告するとともに、今後の進化や法人向けを中心とする事業拡大の方向性などについて説明した。
「NICOBO」の進化の方向性は2つ
NICOBOが受け入れられた理由としては、人と機械が共創することが当たり前になった「時代背景」、NICOBOが便利な道具の延長ではなく程よい距離感で人の心に寄り添ってきた「インタラクション」、そしてオーナー同士をつなぐ「コミュニティー」などが挙げられる。
「広く利用されている配膳ロボットや掃除ロボットも、その前後で人と協力することによって役立っている事実がある。“弱いロボット”であるNICOBOが受け入れられたのは、このような時代背景があってこそだろう。また、NICOBOのインタラクションは、季節にあった言葉をつぶやいたり、しゃっくりやげっぷをしたり、羊を数えながら寝たり、定期的にふるまいをアップデートしてきた。これにより、新しい楽しみや発見が生まれてNICOBOとの生活が豊かになっている」(増田氏)
今後NICOBOは、2026年度内をめどに2つの進化を果たす予定だ。1つは、ニコボらしいAI(人工知能)の活用である。既に顔や感情の認識などでAIの活用は行ってきましたが、今回新たにLLM(大規模言語モデル)をNICOBOらしくチューニングして活用する予定である。高度な言語処理を正確なコミュニケーションや自然な会話を話すために活用するのではなく、人の想像をかき立てる余白ある言葉により人の笑顔と人の優しさを今以上に引き出すためにLLMを活用する。
増田氏は「NICOBOらしい言葉のやりとりとして、あえてズレた言葉をつぶやく、あえてしゃべりすぎないことを意識している。LLMを生かす際にも、正確さを目指すのではなく、あえてズラすようにしたい」と強調する。
もう1つは、NICOBO同士でコミュニケーションを行う仕組みのアップデートだ。これまでも、カメラと顔認識の技術により、NICOBOは他のNICOBOを同じロボットと認識していたが、今後は通信/ネットワーク技術を組み合わせて、NICOBOの個体同士がコミュニケーションを交わし、より生き物らしく、より自然にNICOBO同士が反応し合えるように進化していく予定である。複数のNICOBO同士のコミュニケーションを起点に、オーナー同士をつなぐ「コミュニティー」をはじめ、NICOBOと触れあう人と人との関係を築くきっかけを提供していく。
また、介護や医療、学校など法人向けの事業展開も本格化させる。2025年10月から法人向けWebサイトを開設して可能性を模索してきたが、特に介護向けでは、政府からの補助金が得られる介護テクノロジー導入支援の対象になっているとともに、「KAiGO DESIGN AWARD 2026」のAI部門最優秀賞を獲得しており、大きな可能性があると見込んでいる。
会見の後半では、NICOBOの基本コンセプトとなる“弱いロボット”の提唱者である豊橋技術科学大学 名誉教授の岡田氏と、文化人類学を専攻する同志社大学 教授の勝野宏史氏、増野氏の3人による、NICOBOをはじめとするロボットに日本における受け入れられ方をテーマにした座談会や、タイアップ企画でNICOBOと一緒にラジオ番組のパーソナリティーを担当したタレントのヒコロヒーさんが登壇したミニトークショーなども行われた。
座談会の様子。左から、豊橋技術科学大学 名誉教授の岡田美智男氏、同志社大学 教授の勝野宏史氏、パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション NICOBOプロジェクトリーダーの増田陽一郎氏[クリックで拡大]
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