熱転写インクリボン技術を用いた紙製検査チップ、試薬でにじまず分析:nano tech 2026
デクセリアルズは、「nano tech 2026 第25回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」で、開発品としてろ紙を基材とした「紙流路基板(μPADs)」を披露した。
デクセリアルズは、「nano tech 2026 第25回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」(会期:2026年1月28〜30日、会場:東京ビッグサイト)に出展し、開発品として、ろ紙を基材とした「紙流路基板(μPADs)」を披露した。
量産に適したロールtoロール方式を採用
μPADsは、熱転写インクリボンによりろ紙に疎水性があるパターンや親水性があるパターンを施すことで、滴下した検液が親水部分に浸透しつつ試薬と反応し、対象の物質を検出する。さらに、複数の流路や確認スポットを設けることで、少量の検液で同時に多項目の検査が行える。μPADsの基材には、ニトロセルロース膜より低価格で調達が容易な汎用ろ紙が使用されている。
μPADsの活用事例として、熱転写インクリボンにより、1つの流路入口、流路、3つの流路出口のパターンをろ紙に設けた例を挙げる。このμPADsは、3つの流路の出口にそれぞれ異なる試薬を配置した上で、流路入口に検液を注入すると、毛細管現象により流路を介して、その検液が各出口に流れる。これにより、検液と試薬が反応し、色が変わることで検査が行える。また、熱転写インクリボンにより、ろ紙の両面にパターンを転写することで、紙の厚み方向を使える立体的な流路を作製できる。
同社の説明員は「当社では以前、製品として熱転写インクリボンを展開していた。この熱転写インクリボン技術を応用し、耐試薬性に優れた特殊な熱転写リボンを独自開発した。これにより、試薬によるにじみを抑え、正確な分析を可能にした。加えて、量産に適したロールtoロール方式によるμPADsの生産にも対応している」と話す。
アドバンテックは、デクセリアルズの熱転写インクリボン技術を活用したμPADsを用いた測定システムの開発を進めている。同システムは、μPADs、判定用台紙、判定用スマートフォンアプリで構成される。具体的には、検液と試薬が反応し、流路出口の色が変わったμPADsを判定用台紙の上に乗せた後、判定結果が表示される。
例えば、同システムを用いた土壌中の栄養分の測定方法は以下の通りだ。まず、測定したい土壌を5g採取する。5gの土壌と50mlの精製水をボトルに入れ、1分間浸透させる。次に、判定用台紙の上にμPADsを乗せる。続いて、5gの土壌と50mlの精製水が混ざったものをピペットでμPADsに2滴滴下する。これにより試薬が反応し、流路出口の色が変わったμPADsを、スマートフォンを通して判定用スマートフォンアプリで撮る。その後、判定用スマートフォンアプリに結果が表示される。
同社の説明員は「流路出口の前に前処理スポットを設けることで、試薬による前処理が必要な検査項目でも、検液を滴下するだけで判定できる。判定に必要な検液は約0.1ml(スポイトで2滴程度)で、他の試験紙や簡易検査キットに比べて少量で判定できる。撮影と判定はスマートフォンと判定用スマートフォンアプリで行える。そのため、手間がかからず、測定者による判定誤差も起きない。スマートフォンに測定データを保存できるため、データ管理も容易だ」と述べた。
同システムの用途としては、土壌中の栄養分の分析や水質検査、ヘルスケア分野が想定されている。
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