ウシ由来の組織再生型靱帯で膝を切らずに再建、2028年実装目指す:医療機器ニュース
CoreTissue BioEngineeringとマイクロ波化学は、膝前十字靱帯再建手術向けの「組織再生型靱帯」の実用化を目指し、マイクロ波を用いた脱細胞化技術を適用した量産装置の開発を開始した。
CoreTissue BioEngineering(CTBE)とマイクロ波化学は2026年1月13日、膝前十字靱帯(じんたい)再建手術に用いる「組織再生型靱帯」の大量生産に向けた装置開発に着手したと発表した。マイクロ波で水分子を振動させることで、細胞膜の溶解液を組織深部まで浸透させる、世界初の脱細胞化技術を応用する。2024年12月に企業治験として患者の治療に使用しており、2028年には商用生産に向けた実装を目指す。
ウシなどの組織をヒトの靱帯再建手術に用いるには、免疫反応や炎症反応を引き起こす可能性がある細胞などを除去する脱細胞化技術が必要となる。CTBEが開発した技術は、ウシの腱にマイクロ波を照射することで、組織を破壊せずに細胞成分のみを除去し、ヒトの腱と同等の強度と再建に必要な厚みを両立する。
今回、マイクロ波装置のスケールアップに知見を持つマイクロ波化学と連携し、量産条件の最適化に向けた検証装置を製作。マイクロ波化学からの装置納入後は、CTBEが安定的な複数製造の検証を進め、商用機開発に必要な技術課題を抽出する。
膝前十字靱帯損傷の再建手術は、日本国内で年間約1万9000件、米国で約17万5000件実施されている。現在は患者自身の別部位の腱を移植する自家腱移植が主流だが、採取部位の身体的負荷や再断裂時の腱不足が課題となっていた。一方、ウシなどの組織を使用するには、従来の脱細胞化技術では適用できる組織が薄膜に限られる上、薬剤処理により靱帯再建に使用できる十分な強度と厚みを得ることが難しかった。
今後CTBEは、米国でのビジネス展開を見据えた治験準備を進めるとともに、膝以外の靱帯損傷や肩腱板再建への応用も視野に入れる。
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