すい臓がんの進行を抑制する遺伝子候補を発見:医療技術ニュース
東京理科大学は、脱リン酸化酵素CTDNEP1がすい臓がんのがん抑制遺伝子として機能する可能性を発見した。早期段階から発現量が低下し、生存率と密接に関連する。
東京理科大学は2026年1月15日、脱リン酸化酵素CTDNEP1が、すい臓がんの進行を抑制するがん抑制遺伝子として機能している可能性を発見したと発表した。すい臓がん組織では正常組織と比較してCTDNEP1の発現量が低下しており、発現が低い患者ほど生存率が低いことが明らかとなった。すい臓がんの予後予測バイオマーカーや新規治療ターゲットとしての応用が期待される。
CTDNEP1は、これまで骨代謝や小児脳腫瘍への関与が知られている。今回の研究では、すい臓がんとの関連を調べるために、米国のがんゲノム研究データベース(The Cancer Genome Atlas:TCGA)に登録されているすい臓がん患者177例のサンプルデータを用いて相関解析を実施した。
解析の結果、すい臓がんではステージIの早期段階からCTDNEP1の発現が著しく低下していることが判明した。さらに、KRASなどすい臓がんの発生、進行に関与する遺伝子に異常がある腫瘍ほど、CTDNEP1の発現がより低くなる傾向が確認された。
予後との関連では、CTDNEP1低発現群の全生存率、疾患特異的生存率、無病生存率はCTDNEP1高発現群より有意に低下しており、特にステージIIの患者において顕著な差が見られた。
また、CTDNEP1低発現群では免疫および炎症反応やタンパク質分解に関わる経路が活性化している一方、CTDNEP1高発現群ではミトコンドリアの代謝やエネルギー産生に関わる経路やエネルギー代謝に関わる経路が活性化していた。
さらに、CTDNEP1の発現が高い腫瘍細胞では、CD4+T細胞やマクロファージなどの免疫細胞が腫瘍内に多く集まっていることが明らかとなった。これにより、CTDNEP1遺伝子の発現低下が免疫細胞の浸潤を減少させ、免疫逃避に関与している可能性が示唆された。
今後は、細胞や動物を用いた実験を通じて、CTDNEP1ががん細胞の増殖や転移に影響を与える詳細なメカニズムを検証する予定だ。
すい臓がんは初期の自覚症状が乏しく、発見時に進行している例が多い難治性がんだ。KRASやTP53といった既知の遺伝子異常だけでは進行メカニズムを十分に説明できず、重要な役割を果たす他の遺伝子の発見が求められていた。
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