CES 2026でも過熱する「フィジカルAI」、バズワードを脱して本格的なトレンドへ:MONOist 2026年展望(2/2 ページ)
2025年後半から日本国内でもバズワードとして取り上げられてきた「フィジカルAI」。その主戦場は日本が得意とする自動車とロボットであり、2026年はこのフィジカルAIが本格的なトレンドとして定着していく年になるだろう。「CES 2026」でもフィジカルAIに向けた新製品の発表が相次いだ。
クアルコム「Dragonwing」の最新製品はAI処理性能が700TOPSに
クアルコムは2025年2月に、産業機器やIoT(モノのインターネット)機器をはじめとする組み込み機器向けプロセッサ製品の新たなブランドとなる「Dragonwing」を立ち上げた。同社のプロセッサ製品といえばスマートフォンやPC向けで展開する「Snapdragon」が知られているが、新ブランドの立ち上げによって組み込み機器市場に対して大きく貢献して行く姿勢を示した格好だ。
そしてCES 2026では、最新のロボティクス専用プロセッサに位置付ける「Dragonwing IQ10」を発表した。PC向けに展開している「Snapdragon X2 Elite」などと同様に、Dragonwing IQ10もCPU「Oryon」、GPU「Adreno」、NPU「Hexagon」から構成されるアーキテクチャを採用している。特筆すべきは、AI処理性能で最大700TOPSをうたっていることだ。これは、インテルやAMDの製品のみならず、自社のPC向け製品をも大幅に上回っており、クアルコムのフィジカルAIに対する強い意気込みを感じさせる仕様設定となっている。
NVIDIAはオープンソースAIモデルの公開に注力
一方、フィジカルAIの提唱者であるNVIDIAは、2025年8月に組み込みAI(人工知能)ボード「Jetsonシリーズ」の最新製品となる「Jetson AGX Thor」を発表しており、CES 2026では新たな製品を投入していない。Jetson AGX ThorのAI処理性能は、NVIDIA独自の量子化となるFP4(4ビット浮動小数点演算)で2070TFLOPSとなっており、インテルやAMD、そしてクアルコムの製品と比べてもはるかに高い水準にある。
ただし、価格と消費電力も高い水準にあるため(Jetson AGX Thorの開発者キットで3499米ドル、消費電力は40〜130W)、AI処理性能を1200TFLOPSに抑えつつ価格と消費電力も抑えた量産モジュール「Jetson T4000」の量産出荷を発表している。価格は1999米ドル、消費電力は40〜70Wだ。
Jetson AGX Thorの発表以降、NVIDIAがフィジカルAI向けで注力してきたのがオープンソースのAIモデルの公開である。CES 2026では、ヒューマノイド向けで展開してきた「Cosmos」や「Isaac GR00T N1」などの新バージョンを新たに投入するとともに、自動運転技術向けとなる「Alpamayo」を公開した。
これまでもNVIDIAは、並列計算のプログラミング環境である「CUDA」をはじめ自社製品ユーザーに無償でソフトウェアを提供してきたもののOSS(オープンソースソフトウェア)の展開には注力していなかった。ただし、AI技術がAIエージェントやフィジカルAIに進化していく中で、オープンソースコミュニティーを巻き込むべくHugging FaceやGitHubを用いてオープンソースのAIモデルを積極的に公開するようになっている。
CES 2026では、これら4社の他にも、TI(Texas Instruments)が自動運転のレベル4への対応を想定した最大1200TOPSのAI処理性能を持つ車載SoC「TDA5シリーズ」を発表するなどしている。
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