小型筐体のエッジAI推論システム、「Hailo-8」搭載で処理性能は26TOPS:人工知能ニュース
Advantech(アドバンテック)は、小型筐体でAI推論を実行するエッジAIシステム「AIR-120」を発表した。Hailo-8による最大26TOPSのAI処理と耐環境性能を備え、産業用途で効率的なAI導入を支援する。
Advantech(アドバンテック)は2025年11月28日、コンパクトなエッジAI(人工知能)推論システム「AIR-120」を発表した。Intel Atom x7433REやCore i3-N305、N97に加えてHailo-8 AIアクセラレーターを搭載し、最大26TOPSのAI処理に対応する。産業用途で求められる性能と電力効率の両立を図り、低レイテンシの推論が可能だ。
動作温度範囲は−20〜+60℃で、重工業向けのEMC規格IEC 61000-6-4およびIEC 61000-6-2に準拠する。エッジAIの導入を容易にするため、Edge AI SDKやHailo AI Software Suiteを統合。AIモデルの最適化や展開を支援し、性能評価やリモート監視を行うEdgeBMCも実装した。安全管理や外観検査、労働災害防止などの用途に向く。
筐体は176×112.35×66.4mmと小型ながら、12以上のI/Oポートを備え、2.5GbEや1GbE、USB 3.2×2、USB 2.0×2、COM×2を装備。オプションでデュアルCANバスに対応し、M.2スロットにはAIモジュールやストレージ、Wi-Fi、4G LTEモジュールを追加できる。専用の放熱設計により、高負荷のAI処理時でもHailo-8の性能を安定して維持できる。
AI開発を効率化するため、Model Zoo、Dataflow Compiler、TAPPAS Toolkitなどのツールを利用でき、開発期間の短縮を図れる。
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