「今さらCESでテレビを売る場合ではない」、パナソニックHDが語るAI時代の勝ち筋:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
パナソニック ホールディングスはCES 2026の出展概要を発表した。従来の家電中心からAIインフラや環境技術などB2B領域への戦略シフトを鮮明にし、生成AIを支えるデータセンター設備や半導体製造装置などを披露する。
進化した「CPS 2.0」で現場革新、2026年度以降サービス化
また、現場のプロセス改善として、「CPS(サイバーフィジカルシステム)2.0」を披露する。これは、製造現場のヒト/モノ/設備の動きをデジタル空間でモデル化し、最適解を導き出して現実の現場にフィードバックする技術体系だ。2024年まで推進された「現場CPS1.0」で実現した現場の暗黙知の可視化/形式知化を基盤としている。
2.0では単なる可視化にとどまらず、過去の事例を学習したAIエージェントが人に代わってボトルネックを特定し、工程をまたいだ全体最適化を提案するフィードフォワード型のシステムへと進化している。サービス化は2026年度以降を見込んでおり、CES 2026の会場では、製造業/非製造業の現場における適用事例をグラフィックスと映像で紹介する予定だ。
また、製品を作るだけでなく、役割を終えた製品を素材に戻す静脈産業にも踏み込む。展示するサーキュラーエコノミー(循環型経済)対応の「自動家電分解システム」は、3D CADにより製品設計の段階から解体動作や所要時間をシミュレーションするもの。将来的にはロボットによる自動解体へつなげる構想である。
同システムは2028年度の実用化を計画しており、まずは人手や半自動から段階的に進める方針としている。小川氏は「サーキュラーエコノミーの実現は1社単独では限界がある」と述べ、当面は自社製品で技術を確立していき、中長期的には分解プロトコルなどの業界標準化を図る意向だ。
小川氏は、「AI技術の進化自体は予測できていたが、世界的な普及のスピードと規模は予想以上だった」と語る。その上で、「グループが蓄積してきた基礎技術を生かし、現在の急速なトレンド変化に合わせて社内リソースをアジャスト(適応)させている最中だ」と述べ、各領域の技術の飛躍に自信を見せた。
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