デジタルツインを物流改善に、自動化検証支援の生産シミュレーター導入支援:物流のスマート化
FAプロダクツは、SGシステムによるシーメンスの生産シミュレーター「Plant Simulation」の導入を支援した。導入後、SGシステムはデータに基づいた改善提案を基に現場の全体最適化を進めている。
FAプロダクツは2025年11月18日、SGシステムによる、Siemens Digital Industries Software製生産シミュレーター「Plant Simulation」の導入を支援したと発表した。SGシステムは、佐川急便などを傘下に持つSGホールディングスグループのIT統括会社となる。
導入の背景には、ECの拡大による物流量の増加、ドライバーの時間外労働の制限(2024年問題)、人手不足などがある。多くの物流現場では、自動化設備の費用対効果が判断しにくく、問題点が可視化できないことや、計画が現場の複雑さに合っておらず実行段階で破綻するなどの課題があった。また、これらを改善するに当たり、担当者の勘や経験に依存していた点も問題とされていた。
Plant Simulationは、仮想倉庫で設備や人の動きを再現し、生産性の向上率や必要人員を数値と映像で導入前に予測できる。これにより投資判断の根拠が明確になり、失敗リスクを抑えられる。
また、人や在庫、マテリアルハンドリング機器の動きを、工程ごとに秒単位で可視化し、工程間のタイミングのずれや負荷の偏りといった、倉庫全体の生産性向上を妨げている真の原因を特定する。
さらに、複数のレイアウト案や運用パターンを短時間で試し、コストや時間、生産性の点から最適な組み合わせを導くこともできる。
SGシステムはこれらPlant Simulationの機能を活用し、データに基づいた改善提案を基に失敗リスクを抑えつつ、現場の全体最適化を進めている。
FAプロダクツは、デジタルツインを用いた事前検証から装置の導入、人材派遣まで一貫して支援することで、現場に根付いた改善策を提案できる点を強みとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ロボット×DX×工場、最先端工場のショールームで見えてきた製造業の将来図
この連載では、FA向けロボットを活用した製造業のDXの取り組みや動向を取材して、そこでから見えてくる国内製造業の将来図を紹介していく。第1回はロボット×IoT×工場をテーマに、DX推進を目指す企業コンソーシアムであるTeam Cross FAの幹事会社、FAプロダクツ 代表取締役社長の貴田義和氏に話を聞いた。
特定メーカーに依存しないスマート工場の構築へ、「Team Cross FA」が発足
FAプロダクツとオフィス エフエイ・コムは、スマート工場の建屋からIT、人、設備に至るまでのソリューションをワンストップで提供するコンソーシアム「Team Cross FA」を設立する。メーカー主導ではなく、さまざまな技術を持つベンダーがチームを組んで、スマート工場の技術を提供することが最大の特徴になる。
シーメンスとNEC、提携でロボットティーチングの自動化を推進
Siemens Digital Industries Softwareは、NECと「Technology Partner Program Agreement」を締結した。ロボットティーチングの自動化を通じ、製造現場の生産性向上とDXの加速を目指す。
ヒューマノイドロボットがいよいよ現場に? 山善が物流現場での試験導入を公開
山善が、物流現場の人手不足解消に向け、ヒューマノイドロボットの本格試験導入を公開。デモでは初見の商品も難なくピックした。今後は「フィジカルデータ生成センター」を核に学習データを量産し、2026年度内の本格導入を目指す。
いまさら聞けない「デジタルツイン」
デジタルツインとは何か? 注目を集めるようになった背景や事例、製造業にもたらす影響などを取り上げ、デジタルツインについて分かりやすく解説する。


