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リコーがAI活用で需給調整DXの実証開始、2030年までに業務工数3割削減目指す:製造IT導入事例
リコーは、需給調整業務にAIを活用する実証実験を2025年10月より開始した。工場と販売拠点間の調整業務を可視化し、業務品質を向上させ、2030年までに業務工数の3割削減を目指す。
リコーは2025年11月5日、サプライチェーンマネジメントの最適化に向け、需給調整業務へのAI(人工知能)活用を進める実証実験を同年10月に開始したと発表した。これまで属人的だった工場と販売部門間の調整業務を可視化し、LLM(大規模言語モデル)やRAG(検索拡張生成)などのAI技術により、2030年までに業務工数の3割削減を目指す。
リコーは「デジタルサービスの会社への変革」に向け、社内プロセス全体を可視化しデジタル活用で改善する「プロセスDX」を推進している。サプライチェーン領域においても、製品の供給から回収、再資源化までの一連のプロセスを対象にDXを展開し、業務品質と効率の向上を図っている。
今回の実証では、需給調整で発生する本社、国内外販売拠点、工場間のやり取りを、AIを搭載した自社開発プラットフォーム上に集約する。従来のExcelやメールでの情報交換を一元化することで、データの蓄積と活用を促進し、AIによる業務支援が可能になる仕組みだ。
さらに、複合機の稼働状況からトナーや部品の需要を予測するAIの開発にも着手。急な需要変動に伴う工場側との調整業務を支援するLLMベースの仕組みも導入し、2025年10月より社内での検証を開始した。
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