AI活用で文書処理を自動化するSaaSプラットフォームを開発:製造ITニュース
リコーは、AIを活用したSaaSプラットフォーム「RICOH Intelligent Automation」を開発した。データ抽出や文書の分類、分割などのドキュメント処理を実行し、他のシステムやサービスと連携して業務全体を自動化する。
リコーは2025年10月28日、AI(人工知能)を活用したSaaSプラットフォーム「RICOH Intelligent Automation」を開発したと発表した。価値検証のため、先行顧客への試験提供を開始している。
RICOH Intelligent Automationは、インテリジェントドキュメント処理(IDP)とオーケストレーション機能を備えたSaaS型プラットフォームだ。OCRや手書き文字認識(HTR)により、データ抽出や文書の分類、分割などを実行し、基幹システムや他サービスと連携して業務プロセス全体を自動化する。
200言語以上に対応し、紙とデジタルが混在する環境でもドキュメントを一括処理できる。ノーコードで個別にワークフローを構築可能で、既存システムを大幅に変更することなく、柔軟に運用できる。
また、RICOH Intelligent Automationには、同社が2024年4月に買収したnatif.aiの画像認識技術が取り入れられており、非構造化文書からの情報抽出精度が向上している。今後は生成AIを活用したAIアシスタントやAIエージェント機能も追加する予定だ。
ドキュメントの仕分けや管理、データ抽出などの業務を自動化するPA(プロセスオートメーション)領域は、今後の市場成長が期待される分野だ。特にIDP市場は、2032年までに2023年の11倍以上となる、約667億ドル(約10兆2684億円)に拡大すると見込まれる(Fortune Business Insightsの調査より)。
RICOH Intelligent Automationにより、リコーはPA事業をグローバルに強化する。また、複合機やスキャナーなどのデバイスとソフトウェアを組み合わせた統合的なソリューションを通じ、世界中の企業の業務効率化を支援する。
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