3D CADから工程検討と作業指示書をAI自動生成 デンソー×Sceneが共同開発を開始:メカ設計ニュース
Sceneとデンソーは、3D CAD情報をAIで解析し、工程を検討して3Dアニメーション付きの作業指示書を自動生成するソリューションを共同開発した。2026年4月に提供を開始する予定だ。
Sceneは2025年11月17日、デンソーと共同で、3D CAD情報を基に工程を3Dアニメーション化した作業指示書を自動生成する生産準備ソリューションの開発を開始したことを発表した。熟練作業者の判断力や技能を形式知として蓄積し、現場で共有できる仕組み作りを目指している。
同ソリューションは、AI(人工知能)が3D CADデータを取り込み、工程の検討から手順書作成までの作業を自動化する。内部構造や部品の干渉を考慮してプロセスを最適化し、組立手順の検討を前倒しすることで、生産準備を効率化する狙いだ。熟練者の勘と経験に頼っていた従来の状況から脱却し、品質の標準化と安定化につなげる。
デンソー工機部は生産設備を自社で設計/製造する中で、3D CADを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してきた。同部門はSceneの「3D Docs」を利用した結果、従来比で1.6倍の速度で作業指示書を作成できたという。操作性の高さも評価され、両社はAI活用によるさらなる効率化を進めている。
今回の共同開発では、3D DocsにAI機能を搭載する。CAD BOMや3D形状を基にM-BOMを自動生成し、干渉が起きない工程を検討してBOMツリーを構成する。また、部品ツリーからアニメーション付きの組立手順書を生成できるようにした。作業標準やマニュアルは部品IDと連携して表示でき、作成工数の削減が見込める。暗黙知の可視化とデータ蓄積も進む。
Sceneは、モノづくりのAIワークスペース「Scene Workspace」を通じ、設計から生産準備、製造までの工程設計の効率化を支援する。今回のソリューションは2026年4月からSaaSとして提供予定で、3D Docsはその中核アプリケーションとして引き続き機能強化が進められる。
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