デクセリアルズが通期予想を上方修正、反射防止フィルムなど好調:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
デクセリアルズは2026年3月期第2四半期決算の発表で、通期業績予想の売上高などを上方修正したことを明かした。
マイクロLEDディスプレイ対応の粒子整列型ACFの市場投入準備完了
セグメント別では、光学材料部品セグメントの売上高は前年同期比13.2%減の253億円で、事業利益は同19.4%減の80億円となった。同セグメントは、光学フィルムカテゴリーと光学樹脂材料カテゴリーから成る。
光学フィルムカテゴリーでは、ノートPC用ディスプレイ向けARFが好調に推移したが、蛍光体フィルムの販売終了や前期に自動車向けARFの新規納入積み上げがあった影響により減収となった。
新家氏は「車載ディスプレイは2027年以降に、フラットではない曲面的なデザインが増加する見込みだ。当社のARFは、フラットではない形状でも、ドライバーがさまざまな角度から見た時に均一な反射率を保てるという機能を備えており、このニーズに対応できるとみている」と述べた。
光学樹脂材料カテゴリーでは、光学弾性樹脂(SVR)において一部採用モデルの数量減により減収となった。
電子材料部品セグメントの売上高は同5.6%増の325億円で、事業利益は同1.9%減の121億円となった。新家氏は「スマートフォン向けカメラモジュール用の形状加工異方性導電膜(ACF)が新規採用部位の増加により好調で、電子材料部品セグメントの増収に貢献した。当社の形状加工ACFは、スマートフォン向けカメラモジュールや各種センサーの限られたスペースでも高い性能を発揮するため採用が拡大している。これは、顧客の多様なデザインルールに対し、最適な実装方法を提案する当社のビジネスモデルが奏功している結果だ」と語った。
加えて、マイクロLEDディスプレイに対応する粒子整列型ACFも2025年度の後半に市場投入できる準備が整ったという。
円安推移も利益向上を後押し
足元の市況を踏まえて、2026年3月期通期業績予想に関して、売上高は前回予想比10.1%増の1140億円、事業利益は同34.5%増の390億円、営業利益は同39.3%増の390億円に上方修正した。
上方修正の理由として、反射防止フィルムなどの高付加価値製品の売上高が拡大した他、為替が期初想定よりも円安に推移したことで、中間期の売上高および利益が想定を上回る水準で推移した点を挙げている。なお、下期の為替前提レートを見直し、年間為替レートを145.8円/米ドルとした。
新家氏は「スマートフォン向けビジネスの一部が当期に前倒しされたものの、光半導体の歩留まり安定化などにより、第3四半期の売上高は第2四半期と同水準で推移する見通しだ」と展望を明かした。
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