デクセリアルズは増収増益 ACFと反射防止フィルムが好調:製造マネジメントニュース
デクセリアルズは、2025年3月期第2四半期の売上高が前年同期比20.2%増の596億3500万円で、事業利益は38.2%増の223億2000万円となった。
デクセリアルズは2024年11月14日、東京都内とオンラインで記者会見を開き、2025年3月期(2024年度)第2四半期(4月1日〜9月30日)の決算と2025年3月期通期の見通しを発表した。
タブレット端末でOLEDへのシフトが加速し蛍光体フィルムの売上高は低減
同期の売上高は前年同期比20.2%増の596億3500万円で、事業利益は38.2%増の223億2000万円となった。同社 執行役員 経営管理本部長の寺下和良氏は「顧客におけるミドルレンジのスマートフォンやハイエンドのタブレット端末で、蛍光体フィルムから有機ELディスプレイ(OLED)への切り替えが増え、蛍光体フィルムの売上高は低減した。しかし、粒子整列型異方性導電膜(ACF)の需要がグローバルで拡大した他、自動車向け反射防止フィルムが中国や韓国のメーカーで採用件数が順調に増え増収増益となった」と話す。
セグメント別では、光学材料部品事業の売上高は同23%増の291億9000万円で、事業利益は同42%増の99億8000万円となった。同事業の光学フィルムカテゴリーでは、反射防止フィルムが同46%増の増収となり蛍光体フィルムは同23%減の減収だった。光学弾性樹脂や精密接合用樹脂などを含む光学樹脂材料カテゴリーは同25%増の増収となった。「蛍光体フィルムを除き、光学フィルムカテゴリーや光学樹脂材料カテゴリーでは扱う製品の数量増により増収した」(寺下氏)。
電子材料部品事業の売上高は同17%増の307億8000万円で、事業利益は同36%増の123億3000万円となった。同事業の接合関連材料カテゴリーは同14%減の減収で、ACFのカテゴリーは同27%増の増収となり、表面実装型ヒューズのカテゴリーは同6%増の増収で、フォトニクスのカテゴリーは前年並みだった。「ACFはスマートフォンのOLED化に伴い需要が堅調に伸長している。フォトニクスカテゴリーの光半導体は、テレコム(電気通信)向けセンサー用途は調整局面だが、データコム(データ通信)の用途は伸長する見通しだ」(寺下氏)。
また、2025年3月期の業績見通しに関しては2024年5月13日に発表した「2024年3月期 決算短信」の予想値から変更はない。寺下氏は「同期の上期に関しては蛍光体フィルムの低迷などはあるが、ACFや反射防止フィルムといった高付加価値材料がカバーする形で期初計画は想定通りに進んでいる」と述べた。
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