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1mのマイクロ波ワイヤレス給電実演へ、京大発スタートアップが配線負荷解消:IIFES 2025
Space Power Technologiesは、「IIFES 2025」の出展概要を発表した。1mの距離で数W級の電力を伝送できるマイクロ波ワイヤレス給電システムを実演する。
Space Power Technologiesは2025年11月14日、「IIFES 2025」(同年11月19〜21日、東京ビッグサイト)の出展概要を発表した。
Space Power Technologiesは2019年に設立された、京都大学発のスタートアップだ。空間伝送型ワイヤレス電力伝送機器の開発、製造を事業概要としている。IIFES 2025では、1mの距離で数W級の電力を伝送できるマイクロ波ワイヤレス給電システムを実演する。
製造現場のさらなる生産性の向上のためには、既存設備のデータをリアルタイムで収集、分析するためのIoT(モノのインターネット)化、センサーネットワーク構築が不可欠となっている。しかし、数千〜数万点のIoTセンサーを設置するための電源ケーブル敷設は現場の大きな負担となる他、電池交換や充電の保守コスト、ロボットや搬送装置への電力供給の制約などが課題となっている。
同社の空間伝送型ワイヤレス給電は、マイクロ波の特性を生かして空気中を通して電力を伝送する新方式であり、数mまでの安定した給電や、独自設計による従来方式比約2400倍の電力供給能力などを特徴としている。これらの技術により、製造現場における“電源ケーブルの制約”を取り払い、これまで困難だった場所や可動体への給電を可能にする。
会場では、安全性に配慮して透明な電磁波シールドフィルムで囲ったアクリルケースを使用して実演する。
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