太陽光パネルガラスの水平リサイクル実証事業を開始:材料技術
タケエイとマイクロ波化学は、マイクロ波を利用した太陽光パネルのガラス付着有機物の除去による、ガラスカレット水平リサイクル実証事業を開始した。マイクロ波を利用した、EVA樹脂の除去および低減技術の実証試験を実施する。
タケエイは2025年10月28日、マイクロ波化学と共同で、マイクロ波を利用した太陽光パネルのガラス付着有機物の除去による、ガラスカレット水平リサイクル実証事業を開始したと発表した。
同事業は、環境省が公募した「令和7年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(国内資源循環体制構築に向けた再エネ関連製品及びベース素材の全体最適化実証事業)」に採択されている。使用済み太陽光パネルから回収するガラスカレットの水平マテリアルリサイクルを推進するため、マイクロ波を利用したEVA樹脂の除去および低減技術の実証試験を実施する。ガラスカレットとは、廃ガラスを破砕した状態のガラス片で、リサイクル原料として扱われている。
環境省と経済産業省の推計によると、使用済み太陽光パネルの量は、2030年代半ばから年間20万トン(t)を超え、2040年以降には最大50万tほどに達すると見込まれる。そこで国内では、太陽光パネルのカバーガラスをリサイクルするために、ガラスを接着、封止するエチレン酢酸ビニール共重合樹脂(EVA)樹脂を除去し、品質を安定化する技術が求められている。
対象物を直接加熱できるマイクロ波は、エネルギーの無駄を抑えることから、効率的なEVA樹脂の低減が見込まれる。これにより、工程全体のCO2排出量を削減できる。さらに同事業では、小型分散処理の導入を想定しており、設置場所の柔軟性が高く、輸送に伴うコストなどの低減にもつながる。
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