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生成AI時代のデザインと知財管理を支える「Final Design」に大手製造業も熱視線Japan Mobility Show 2025

Final Aimは、「Japan Mobility Show(ジャパンモビリティショー) 2025」において、安全/安心な生成AIによるデザインを実現する“デザインと知的財産管理”を統合したプラットフォーム「Final Design」を紹介した。

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 Final Aimは、「Japan Mobility Show(ジャパンモビリティショー) 2025」(プレスデー:2025年10月29〜30日、一般公開日:同年10月31日〜11月9日、東京ビッグサイト)内の「Startup Future Factory」において、安全/安心な生成AI(人工知能)によるデザインを実現する“デザインと知的財産(IP)管理”を統合したプラットフォーム「Final Design」を紹介した。

Final Aimの展示ブース
Final Aimの展示ブース[クリックで拡大]

国内ではヤマハ発動機やホンダと共創

 Final Aimは2019年12月に創業し、2022年に米国デラウェア州に本社を設立したスタートアップだ。生成AIを活用したデザイン開発と、知的財産権の適正な管理を支援するプラットフォームとしてFinal Designを開発/提供しており、日米両拠点で事業を展開している。国内では、ヤマハ発動機やホンダなどの大手メーカーと協業し、生成AIを活用したモビリティデザインやビジョンデザイン支援を展開してきた。

生成AIを活用してデザインされたヤマハ発動機の低速電動モビリティ「DIAPASON C580」をベースとする拡張モデルのイメージ
生成AIを活用してデザインされたヤマハ発動機の低速電動モビリティ「DIAPASON C580」をベースとする拡張モデルのイメージ[クリックで拡大]

 同社説明員は「Japan Mobility Showでの展示を通じ、生成AIがもたらす創造性の拡張と、それを支える安全な知財/セキュリティ基盤の必要性を訴えたい」と出展の狙いを語る。展示ブースでは、デザインデータの生成から保管、共有までを一気通貫で管理するワークフローを紹介し、生成AIを安心して業務に取り入れるための“信頼できるデザイン基盤”の在り方を提示。併せて、ヤマハ発動機と共創した電動モビリティのデザイン開発や、ホンダの水素事業開発部門における生成AIを活用したビジョンデザイン支援などの実績も紹介した。

生成AI時代における安全な創造基盤

 Final Designは、デザインデータから契約書、知財データに至るまで、業務上の重要情報を一元的に管理するプラットフォームだ。人が作成したスケッチや設計データ、契約書類だけでなく、生成AIのプロンプトや生成された画像、3Dモデル、構想データなども管理対象に含まれている。これらのデータを削除や改ざんができない形式で保存し、信ぴょう性と真正性を確保する。ブロックチェーン技術を用いてデータを安全に認証/保全し、生成プロセスのトレーサビリティーを担保する仕組みを採用している。

 さらに、同プラットフォームにはスマートコントラクト技術も取り入れられており、プロジェクト参加者や関係部門ごとにアクセス権限やデータの所有権を自動的に制御できる。これにより、デザインや生成AI関連データの共有時にも、権限の逸脱や情報漏えいを防ぎつつ、安全なコラボレーションを実現する。法律事務所の監修を受けた知的財産リスク対策も組み込まれており、契約やライセンス条件を含む知財関連情報を、信頼性の高い形で管理できる点も特長だ。

 これらの特長により、企業はFinal Designを活用して、創作活動の透明性を確保しつつ、生成AIを安心して業務に取り入れられる。同社説明員は「Final Designは、生成AI時代における安全な創造基盤として、知的財産の真正性と業務効率を両立するためのプラットフォームだ」と説明する。

「Final Design」の特長を紹介したパネル展示
「Final Design」の特長を紹介したパネル展示[クリックで拡大] 出所:Final Aim

ローカル環境向けエディションの提供も

 Final Designは、利用環境に応じて選べる「for Individuals」と「for Enterprise」の2つのエディションを用意している。

 提供中のfor Individualsはクラウドベースで動作し、個人クリエイターや小規模チームでの利用にも対応する。生成AIツールやCAD、PDMなどの設計ツールとAPIを介して接続でき、制作プロセス全体で知的財産を保護しながらAIを利用できる。

 一方、for Enterpriseは、クラウド環境での情報管理に慎重な企業ニーズに応える形で準備されたローカル環境向けエディションだ(近日リリース予定)。自社サーバや社内ネットワーク内でAIモデルや生成データを保持できるように設計され、情報セキュリティや知財リスクへの懸念に対応する。現在、複数の企業でPoC(概念実証)を実施しており、“クラウドに依存しない安全なAI運用環境”としての展開を目指している。

 同社によると、2025年に入ってから大手製造業を中心に、Final Designへの問い合わせが急増しているという。「以前は生成AI導入に慎重だった企業が多かったが、現在は『知財リスクをどう管理するか』『情報セキュリティをどう担保するか』といった具体的な運用フェーズでの相談が増えている」(同社説明員)。

 さらに、自社で蓄積してきたデザインデータを学習させ、“自社らしさ”を反映した生成結果を得たいという要望が高まっており、「ファインチューニング(追加学習)やカスタムAIモデル構築への関心も強まっている」(同社説明員)という。

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