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レナード・ニモイがAlteraのCPLDを隆盛に導いた!? Xilinxとの競合も始まるプログラマブルロジック本紀(4)(3/3 ページ)

FPGAに代表されるプログラマブルロジックICの歴史をたどる本連載。第4回は、隆盛を極めたAlteraのCPLDの事業や製品の展開について取り上げる。また、この時期からAlteraとXilinxの競合も始まった。

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AlteraとXilinxのネガティブキャンペーン合戦

 もう1つ、この時期のAlteraを取り巻く状況としては、Xilinxとの競争が激化したことを特筆すべきだろう。Xilinxの話は次回触れることになると思うが、AlteraのCPLDとXilinxのFPGAは、この時期一長一短が明確だった。AlteraのCPLDは、デバイス全体としての厳密な動作タイミングを求められるような設計ではXilinxのFPGAより優れており、他方XilinxのFPGAは多数のレジスタを必要とする複雑な設計でAlteraのCPLDより優れていた。

 もうこれは根本的な設計思想の違いから来るもので、お互いに腐しても仕方ない話なのだが、そうは言っても同じプログラマブルロジック市場で戦っている以上、相手製品に対するネガティブキャンペーンの投げ合いが起きることは避けられなかった。

 このネガティブキャンペーンは、AlteraがFPGAを、XilinxがCPLDをそれぞれ自社の製品ラインに組み込む1992年ごろまで続くことになった(AlteraはFlex 8000シリーズのFPGAを1992年に発表。一方、Xilinxはその1992年にEPLDを製造していたPlus Logicを買収し、同社が抱えていた製品ラインをXC7200シリーズとして発表している)。これ以降、両社は用途や規模、価格などの要件に合わせた形でCPLDとFPGAをそれぞれ提供するようになった。

 ちょっと時期的に先走ってしまったので話を戻すが、1988年にAlteraはMAX(Multiple-Array matriX)アーキテクチャを発表する。これにより、従来のAND/ORのEPLD Arrayと比較して動作タイミングを2倍、ロジック密度を4倍に高めることが可能になった。このMAXアーキテクチャを最初に採用したのがMAX5000シリーズで、Macrocell ArrayとExpander Product Term Array、それとI/O Blockを組み合わせたLAB(Logic Array Block)を基本単位とし、これを1〜12個搭載したEPM5016〜EPM5192をまずはラインアップした(図8)。

図8
図8 EPM5000シリーズの構成。EPM5016とEPM5032はMacrocellの数こそ異なるがLABは1つである。その他の製品はLABあたり16 Macrocellとなっている。なぜEPM5032だけ違うのかは謎だ[クリックで拡大] 出所:Altera

 1990年にはこれを改良したMAX7000シリーズもリリースしている。MAX5000が300〜3750Gate相当で、動作速度は高速向けの一部製品が最大100MHzではあるものの、ほとんどは50MHzに抑えられていた。しかし、MAX7000は600〜5000Gate相当となり、動作周波数も125M〜175MHzと大幅に高速化されている。面白いのはどちらのシリーズも0.8μm CMOS EPROMプロセスで製造されている点であり、この高速化はプロセス微細化などではなく、内部構造の改良や新技術によって実現している。

 これらMAXシリーズの投入で、AlteraのCPLDは一段落した感がある。1992年のAltera Data Bookを見ると、EP300シリーズ〜EP1800シリーズは“Classic EPLDs”としてまとめられており、CPLDはMAX 5000とMAX 7000が前面に打ち出されるようになった。そして1993年にはFlex 8000シリーズが前面に打ち出され、ここからAlteraはFPGAに主な開発のフィールドを移すことになる。

 もっとも、これでCPLDの開発が終わったわけではなく、2004年にはMAX II、2007年にはMAX IIZが、2010年にはMAX Vがそれぞれ投入される。MAX II〜MAX Vはいずれも180nmプロセスで製造されたCPLD製品である。そして、このMAXシリーズの最新製品が、2014年に発表されたMAX 10だが、こちらはCPLD市場向けの低価格FPGAであり、中身はFPGAである。コンフィギュレーション用のフラッシュメモリをチップ内に内蔵しているので、コンフィギュレーションメモリをチップ外に用意する必要がないあたりがCPLD的に利用可能である。

 そんなわけで、Alteraの現行製品からCPLDが消えてしまったものの、まだMAX Vなどの供給は続いている。

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