ニュース
						
						アモルファス材料の柔らかさの構造要因を解明:研究開発の最前線
大阪大学産業科学研究所は、数学のトポロジーを応用した手法を使用し、アモルファス材料のゆがみやすく柔らかい箇所の構造要因を明らかにした。同領域は、原子の並び方に規則性と乱れが共存するような入れ子状の階層構造を持つことが分かった。
大阪大学産業科学研究所は2025年9月25日、数学のトポロジーを応用した手法を使用し、アモルファス材料のゆがみやすく柔らかい箇所の構造要因を明らかにしたと発表した。産業技術総合研究所、岡山大学、東京大学との共同研究による成果となる。
同研究では、トポロジカルデータ解析の1つであるパーシステントホモロジーという解析方法を応用して、アモルファス構造内の中距離秩序に対応する原子が作るさまざまな大きさの「環」の情報を抽出し、それらと非アフィン変形の相関を調べた。その結果、非アフィン変形が起きやすい場所は、大きな環の中に辺の長さが乱れた小さな環が内包される、規則性と乱れが共存するような入れ子状の階層構造を持っていることが判明した。
アモルファス材料は、結晶とは異なる電気伝導特性や機械特性を持ち、太陽電池やコーティング材料などに幅広く応用されている。同成果は今後、割れにくいガラスやしなやかで丈夫なアモルファス材料の設計指針に役立つと期待できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
 無色透明で液ダレしない高粘性液を作れる新CNFパウダー、体積は従来品の50分の1 無色透明で液ダレしない高粘性液を作れる新CNFパウダー、体積は従来品の50分の1
 大阪大学 産業科学研究所は、水に混ぜると無色透明で液ダレしない液体を作れるセルロースナノファイバーパウダー「TEMPO-CNF」を開発した。
 水素を使用したチタン再生技術 水素を使用したチタン再生技術
 本連載では、大阪大学 接合科学研究所 教授の近藤勝義氏の研究グループが開発を進める「スポンジチタン廃材の再生技術」を紹介。第3回では、水素を使用したチタン再生技術について解説する。
 鉄を使用したチタン再生技術 鉄を使用したチタン再生技術
 本連載では、大阪大学 接合科学研究所 教授の近藤勝義氏の研究グループが開発を進める「スポンジチタン廃材の再生技術」を紹介。第2回では、鉄を使用したチタン再生技術について解説する。
 さまざまな材料上に貼り付けられるマグネタイト薄膜を作製 さまざまな材料上に貼り付けられるマグネタイト薄膜を作製
 大阪大学産業科学研究所は、六方晶窒化ホウ素(hBN)シート上でマグネタイト(Fe3O4)薄膜を成長させ、さまざまな材料上に貼り付けられるFe3O4薄膜を作製した。同薄膜は相転移特性に優れ、別の場所に貼り付けた後も特性を維持するため、フレキシブル素子などへの応用が期待される。
 セルロースナノファイバーが新たな短絡防止コーティング剤に、阪大産研が開発 セルロースナノファイバーが新たな短絡防止コーティング剤に、阪大産研が開発
 大阪大学 産業科学研究所が、水ぬれによる電子回路の短絡故障を長時間抑制できるセルロースナノファイバーを用いたコーティング技術について説明。一般的な疎水性ポリマーによる封止コーティングと異なり、水に触れたセルロースナノファイバーがゲル化して陽極側に凝集し短絡を抑制する効果があり、新たな回路保護膜として活用できる可能性がある。

